_ 5 ページ5
「 太宰さんも買い物ですか? 」
太宰に勧められた牛乳を手に取り、Aはいっぱいになりつつある買い物籠に入れた。
太宰はと云うと、また其の物騒な趣味に使うと云う洗剤を選んでいた。
太宰「 まぁそんな所だよ。
Aさんは主婦業の真っ只中? 」
「 えぇ。
今日は中也が早く帰ってこれるので張り切ってます。 」
中也の好きな葡萄酒を手に取り、楽しそうに微笑んだAに太宰が気分良く「 其れはいい事だ 」 と微笑み返すわけが無く。
太宰「 ねぇ、ずっと思ってたんだけど。
何で中也なの? 私の方がカッコイイよ? 」
嫌味ったらしくAの重たそうな籠を持ってイケメンアピールをする太宰。
元々Aが中也の彼女だった時から良く思っていなかったのだ。
自分の恋焦がれた者が大嫌いな人の彼女だなんて、良いわけが無い。
「 自信家ですね、太宰さん。 」
まぁカッコイイのは事実だけど、とは口に出さずただ苦笑いを返すだけのAに太宰は口を尖らせて不貞腐れたように葡萄酒を横取りした。
「 あっ、ちょっと。 」
太宰「 何であんな蛞蝓の奥さんになっちゃったの。
私だってずっと告白してたじゃないか。 」
背の高い彼が手を挙げて葡萄酒を高々と持ち上げてしまえば低身長のAに打つ手無し。
それを良い事に太宰はにやり、と意地悪そうに笑ってAと顔の距離を徐々に近付けるのだ。
此処はスーパーの奥。 ワインコーナーの為昼間は全然人が来ない。
太宰もそれが分かっててやるのだから、ただの確信犯。
それでも、そんなもので屈していては主婦の名が腐る、とAはニコニコと笑ったまま。
「 中也だから、奥さんになって支えたいと思ったんですよ。
太宰さんは友達として、大好きですけど。 」
太宰はそれじゃあ意味が無い、と不機嫌に眉を歪ませるが素直に葡萄酒を籠に戻すとそそくさとレジに向かった。
太宰「 今のところは友達で満足してあげるけど…
私だって諦めてないのだからね。 」
「 …… ふふっ。
私、モテ期到来ですね。 」
太宰「 ( … Aさんのモテ期は年中じゃないのかな。 ) 」
344人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりな - 面白かったです!これからも頑張ってください! (2018年1月27日 11時) (レス) id: 432d65a945 (このIDを非表示/違反報告)
炭酸水素なとりうむ(プロフ) - 凄く続きが気になります!!更新ファイトです! (2017年12月24日 2時) (レス) id: aeb5ce3320 (このIDを非表示/違反報告)
毛糸 - 第一次反抗期戦争の方からきました!! とても面白かったです!!これからも更新頑張ってください!( ´∀`) (2017年12月9日 19時) (レス) id: 1ec397df0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カスミ | 作成日時:2017年12月7日 19時