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城を出ると入口には真選組の面子が揃っており、えりの姿を目に入れると土方は車の後部座席をん。と指さした。
後部座席には沖田が座っており、えりが乗り込むとお疲れ様でさぁと声をかけた。
「えり。すまんな…任せちまって」
『いえ、気にしないでください。土方さん。』
「んじゃ、帰りましょ。土方さーん。安全運転でお願いしまさぁ」
「おうよ…ってあぶねえええええええ!!!!!」
「ちっ、引っかからなかったか」
煙草の火をつけようとして、ものすごい勢いで燃え上がったライターをぶん投げ総悟につかみかかった。
「何が引っかからなかったかだ!!てめえ人おちょくるのも」
『土方さん!落ち着いて落ち着いて、』
「落ち着いてられっか!!!そもそもえり、おめーも総悟に甘ぇから総悟が暴走してんだよ!!」
『?、通常運転では…』
「そこだよ!!!!!」
「ひでぇな土方さん。人の信頼ガタ落ちですぜ」
「おめーのせいだろうが!!!!」
「えり、えりはそのまんまでいていいんですぜ。」
『?、わかった。』
「わかったじゃねーよ‼️沖田を加速させるようなこと言うんじゃねえ!!!」
『けど、総悟、さっきのは危なすぎる。さすがにちょっと…』
「……土方のせいで怒られたじゃねーですかい」
「俺のせいなの!?!?」
怒鳴りつつも車を発進させる土方、えりの隣で土方をおちょくる沖田、平和かと聞かれたら首を傾げるやり取りだがえりにとってはいつも通りのことなため、土方や沖田をなだめつつ、夕暮れが始まる窓の外に視線を移していた。
『…………(記憶を取り戻したら……またなにか変わるのかなぁ……)』
「ひでぇや土方さん、俺の心が傷ついちまったぜ。」
「おめーに心があったのが驚きだわ」
「心くらいありますぜ。なぁ、えり」
『…、え、あ、そうだね。』
「…考え事か?」
『…少し。』
「……記憶か?悪ぃな、いじっちまって…」
『いえ、事実ですから。』
「……結局、こっち来ても全然見つからないまま何年もすぎちまいましたね。」
『……一か八かだったし、仕方ないことだよ。
あの帯留めと、この刀しか親の手がかりはないんだから。」
「だとしてももっとなんか出てくると思ったのによー」
「……もうちょい資料とか見てみるか?下手したら行方不明事件ってことだってあるかもしれねぇからな。」
『じゃあ後で資料庫の鍵を借りますね』
ミラー越しに土方と目を合わせて話したえりはそっと視線を落とし、
まるで花のような形をしている鍔をそっと撫でた。
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作者名:Tyina | 作成日時:2022年5月29日 23時