【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第41話 元気と塩辛マフィン ページ42

『･･･』


お墓から帰って、仕事に戻ったのは良いものの･･･。

やっぱり国木田さん、元気が無いなあ･･･。

どうすれば元気を出させられるかな？
私に出来る事は･･･。


『あ。そういえば、マフィン･･･』


国木田さんに作ってきたんだった。
谷崎君から教わったし、上手く作れてる筈。

美味しいものを食べれば、少しは元気が出るよね。
･･･私が作ったものが美味しいとは限らないけど。


『国木田さん、良かったらこれ･･･』

国木田「･･････くれるのか？」

『食べて、元気出してください！』


国木田さんは、小さく「ありがとう」と云い、マフィンを口に入れた。


国木田「ごふっ･･･」

『く、国木田さん･･･！？どうしたんですか！？』

国木田「･･･なんだこれ･･･塩辛い」


塩辛い･･･？

私、ちゃんと教わった通り作ったのに･･･！


国木田「砂糖じゃなくて塩が入っている･･･しかも大量に」

『塩！？』


若しかして･･･間違えた？
砂糖と塩を間違える挙句、量まで入れ過ぎるなんて･･･！

私の馬鹿！

･･･これじゃあ、元気なんて出してもらえないよね。


国木田「はあ･･･。相変わらず不器用なんだな」

『･･･ごめんなさい』


国木田さんに頭を下げる。


国木田「･･･ありがとう。元気を出させる為だったんだろ？」

『はい･･･？』


怒っても、悲しんでもない･･･？

よ、喜んでる？


『怒らないんですか？』

国木田「･･･俺の為にやってくれた事だ。怒らないさ」


「食べられん事もないしな」と云うと、二個目のマフィンに手を伸ばした。


『･･･ありがとうございます』

国木田「礼を云うのは此方だ」


元気を出させるつもりが、逆に出させてもらっちゃった･･･。

やっぱり、国木田さんは、優しいなあ･･･。

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