【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第4話 リボン結びと襟首 ページ5

『･･･私、リボン結び出来ないんです･･････』

国木田「は？」


私がそう云うと、国木田さんはぽかんとした。

･･･まあ、そうなるよね。
普通に考えて成人済みの女性がリボン結びが出来ないのは大問題だ。

ちなみに、ネクタイも結べない。


『やり方とか、原理は分かるんですよ。ただ･･･縦結びになっちゃって』


実際に結んで見せてみる。

すると、そのリボンは見事に縦に結ばれていた。


『綺麗に出来た試しが無いんです･･･。だから、着けられなくて』

国木田「･･･」


説明をする間、国木田さんはあんぐりと口を開けたままだった。

しかし、ごほんと咳払いをし、つかつかと私に近づいてくる。


『･･･国木田さん？』

国木田「貸せ」

『え、ちょっ･･･』


襟首を掴まれ、思わずぐえっ、という声が漏れる。
国木田さんと距離がかなり近くなった。

･･･普通ならここでときめくのだろうが、何せ襟首を掴まれている為苦しくてそれどころではない。


国木田「ほら、出来たぞ」

『え？あ、ありがとうございます･･･？』


やっと離されたと思ったら、襟にリボンがきちんと結ばれていた。

流石、国木田さんだ。
少しも曲がっていない･･･！


国木田「はあ･･･。俺の理想には後輩がリボン結びが出来ないなんて書いていないぞ」

『うっ･･･。すみません』


云い返す言葉もございません･･･。

頭を下げる。
すると、国木田さんは私の頭にぽん、と手を乗せた。


国木田「練習しておくんだぞ」

『･･･はい！』


−多分、一ヶ月はかかります！

−そんなにか！？

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