【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第29話 理想と現実 ページ30

『太宰さん･･･もう私は駄目です！国木田さんの理想になんてなれませんよう･･･！』


太宰さんの服の襟首を掴み、ガクガクと揺らす。

その振動でテーブルの上の紅茶がぽた、と少し零れる。


太宰「Aちゃん落ち着いて！私死んじゃう！窒息しちゃう！」

『あ！す、すみません･･･！』


襟首を離すと、太宰さんは苦しそうに咳き込んだ。

周りのお客さんは迷惑そうに此方を訝しげに見ている。
･･･そういえば「うずまき」に来てたんだった。


太宰「･･･で、なんでそんなに落ち込んでるの？」

『･･･それがですね･･･』





『私は、国木田さんの配偶者計画の条件･･･どれだけ満たしてるんですか･･･？』


そう国木田さんに訊くと、国木田さんはぴくりと眉を動かす。
そして、云いにくそうに小声で話した。


国木田「あー･･････。二十八項、だ」

『に、二十八項･･･ですか･･･』


真逆の少女と一項差･･･！？

･･･私って、そんなに女らしくないのかな･･･。


『･･･ありがとうございます』

国木田「あ、おい、A･･･！」


国木田さんはまだ何かを云おうとしていたけど、私は話を聞こうとしなかった。

･･･だって、出来なかったから。

そりゃあ、自分が国木田さんの理想に近いとは思っていなかった。
･･･こんな遠いとも思ってもいなかったけど。

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