第24話 ただの事務員と彼の理想 ページ25
国木田「何故、俺を助けに来た!・・・何故、あんな危険な事をしようとしたんだ!」
『それはっ・・・』
言葉に詰まる。
壁に抑えられた手首が、じんじんと痛んだ。
国木田「・・・・・・もし、お前がやられていたら、俺はっ・・・」
言葉に覇気がない。
力の無い手で、国木田さんは私の肩を掴んだ。
・・・私はただの事務員だ。
それでも、私が国木田さんを助けようとしたのは・・・。
『・・・国木田さん、勝手な真似をしたのは謝ります。貴方に迷惑をかけた事も。・・・でも、私は・・・』
国木田「・・・・・・」
国木田さんは黙って私の話を聞いていた。
下を向いたその姿は、弱々しかった。
『私は、大切な人が傷つくなんて、厭なんです』
国木田さんが何処かで苦しんでいるなんて、厭だと思った。
傷ついているのなら、助けたいと思った。
ただ、それだけだ。
『・・・それだけじゃ、貴方を助ける理由にはなりませんか?』
国木田「・・・いや、充分だ」
そう云って、国木田さんはにこりと笑い、肩から手を離した。
そして、一言、「ありがとう」と云った。
『国木田さん』
国木田「・・・なんだ?」
『ありがとうございます、助けてくださって』
医務室から出ていこうとする国木田さんを引き止め、お礼を云う。
国木田「お前を助けたのは、俺の理想の為だ」
背中を向けたまま、国木田さんは云った。
理想の為、かあ。
・・・分かってた、分かってたけど・・・。
なんか少しだけ残念だなあ・・・。
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紅羽(プロフ) - 続編fightだ! (2018年8月24日 20時) (レス) id: 5947bb1147 (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - きのこまるさん» 期待してます。 (2018年8月24日 20時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
きのこまる(プロフ) - 黒バイさん» 自分勝手で申し訳ありません・・・!もう少しお付き合いください・・・。 (2018年8月24日 20時) (レス) id: c031244509 (このIDを非表示/違反報告)
黒バイ(プロフ) - 続編…!?楽しみにしています! (2018年8月24日 20時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
グーフィー(プロフ) - ちょ、え、待って、え、完結??おめでとう!え、ちょ、待って、ああああ (2018年8月23日 22時) (レス) id: c591818929 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこまる | 作成日時:2018年7月27日 20時