【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第23話 目覚めと何故 ページ24

『失礼します･･･。あ、国木田さん。目が覚めたんですね！』

国木田「Aか」


国木田さんの様子を見に、医務室に入ると既に国木田さんは目覚めていた。

･･･良かった、平気そう。
怪我はもう何ともないようだ。

･･･まあ、与謝野女医の治療に不備があるなんて有り得ないけど。


国木田「丁度いい。お前に云いたい事があった」

『云いたい事･･･？』


何だろう。

国木田さんは、真剣な目で真っ直ぐに私を見つめていた。


国木田「俺が逃げろと云った時･･･何故逃げなかった？」


逃げなかった理由？

なんでそんな事訊くんだろう･･･。


『あのままじゃ、国木田さんがやられてしまうと･･･そう思ったんです』


あの現場の状況は、今でもありありと思い出せる。

国木田さんの腕から滴る血が、アスファルトを染めていく。
あんなの、もう見たくない。


国木田「俺がやられると思った、か」

『ち、違うんです！国木田さんが弱いとかそういうのではなくて･･･！』

国木田「なあ、A。･･･お前は、何故俺を助けに来た？」

『それは･･･』


国木田さんが心配だったから･･･。

そう云おうとして、口を開こうとする。

しかし、私がその言葉を云う事はなかった。




『痛っ･･･国木田さん？』


国木田さんに、壁に押し付けられたから。

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