【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第15話 涙と大切な･･･ ページ16

国木田「全く･･･社会人にもなって、雷なんかで気を失うとは情けない！」

『･･･ごめんなさい･･･』


国木田さんの背中で私は揺られていた。

どうやら、気を失った私を国木田さんはおんぶしてくれたらしい。
ついでに部屋まで送ってくれるとか。

･･･有り難さよりも、罪悪感を強く感じる。

私はどれだけ、国木田さんに甘えるんだ。


国木田「そもそも、雷なんかで怖がっていては探偵社員としてだな･･･」

『国木田さん』

国木田「･･･何だ」

『･･･ごめんなさい。いつも、迷惑ばかりかけて･･･。私って、やっぱり駄目ですね･･･』


国木田さんの背中に、顔を埋める。
じわ、と涙が込み上げてきた。


国木田「A」

『っはい･･･』

国木田「迷惑ばかりかけている自覚があるのは評価してやる」


･･･やっぱり国木田さんも、迷惑だって思ってたんだ。

分かってたけど、改めて云われると悲しいなあ･･･。


『･･･ごめんなさっ･･･』

国木田「ただ、自分を駄目だなんて云うな」


謝罪の言葉に被せて、国木田さんは云う。
まるで、その言葉を聞きたくないみたいに。


国木田「なあ、A。･･･少なくとも俺はお前を駄目だなんて思った事は無い」

『っ･･･！』


ぼろぼろと涙が零れる。

いつも怒られて、自信なんて欠片も無かった。
ずっと、駄目な奴だと思ってた。

不器用なのに、ドジなのに。

･･･国木田さんは、私を認めてくれるの？


国木田「雷でも、暗闇でも、怖かったらいつでも頼れ」

『はい･･･』

国木田「･･･A。俺は、お前を大切な･･･」


私、を？
大切な、何だと思ってるの？

国木田さんは･･･私の事をどう思ってるの？

･･･ドキドキと鼓動が鳴る。





国木田「お前を、大切な･･･後輩だと思っている」


･･･ですよね。

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