【国木田独歩】理想とは程遠い恋【文スト】

第11話 忘れ物と雨の予感 ページ12

『･･････携帯が無い』


それに気づいたのは夜八時。
いつもなら探偵社で半べそになりながら残業している時間だ。

･･･まあ今日は珍しく仕事が捗ったので残業はしていないのだけど。


『ま、いいか』


携帯は明日取りに行けば･･･。

と、思ったのだが、ふと明日の予定を思い出す。


『･･････明日、休みだ』


そうだ。

私、明日は探偵社に出勤しなくていいのか！
やったあ！

･･･じゃなくて！

休みの日くらいゆっくりしていたいのに、忘れ物でわざわざ休日出勤したくない･･･！

･･･まだ八時だし、誰かしらは探偵社にいるよね･･･？


『よし、取りに行こう』


そう思うや否や、私は部屋着から外出着に着替える。

そして、玄関のドアを開けた。


『･･･寒』


冷えた空気が、体を刺す。

空を見上げれば、今にも雨が降りそうなどんよりとした天気。
しかも、私は風呂上がりで、髪も半乾きだ。

どうしよう、傘いるかな？


･･･いや、急げば間に合うかもしれない。


スニーカーに足を突っ込み、駆け足で私は探偵社へと向かった。

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