*118* ページ20
『どう?大丈夫そう?』
どうやら私は
熱中症で倒れた割には復活が早いらしく
部活が終わる前にも関わらず目が覚めた
“(人1)が早く目覚ましたら俺戻れねえから紫耀頼む!”
って健人くんに言われてん、と微笑む紫耀
『荷物は健人くんに任せて
歩けるならこのまま帰ろか』
「うん…」
ベッドから立ち上がれば
やっぱりまだ完全には治っていないから
フラフラして、まるで生まれたての子鹿。
『んー、無理そうやな』
「ちょっと難しいかも…
お母さんに電話してみる!」
『あっ、それなんやけど
健人くんがさっき今日は両親とも飲み会やって、』
「あ…そうだったかも…」
『自分の家でゆっくりした方がええし
おぶってったるわ』
「……… え?」
『だーかーらー!
おぶってったるって』
「え、いや、そんな」
『何?今更恥ずかしがってるん?( 笑 )』
「いや、そりゃ………」
『大丈夫。俺がいるんやから』
いつも何処か抜けていて頼りなくて
ヘラヘラしてるくせに
こういう時だけヤケに男の人、って感じで
ん、と差し出された大きな背中を見て
少し躊躇いながらも首に腕を回した。
『おっも!』
「し、失礼な!
降りる!降りるからしゃがんで!」
『こんなん1回しゃがんだら
もう重すぎて俺の足折れるわ』
「なんてこと言うの!」
『うーそ。
顔、見られんの嫌ならうずめとけよ。
体に負担にならないくらいのスピードは出すけど』
「…………ん、」
『じゃ〜出発!』
そう言う紫耀に、
心が癒された。
.
.
……… 紫耀の背中って
こんなに安心するものだったっけ。
首元に顔をうずめれば
大好きな香りが鼻腔を擽る。
『(人1)、こしょぐったい』
「あっ、ごめん」
『…………俺ん家、にする?』
「え?」
『家帰っても誰もおらんねやろ』
「…うん」
『いくら幼馴染みとはいえ
(人1)のお母さんおらん時にガサガサ冷蔵庫漁れへんし』
昔から、変なところで律儀なんだ。
「ふふっ、」
『えぇ?!今の笑うとこ?』
「ううん( 笑 )
紫耀は変わんないなー、って」
『…………………(人1)は変わっていってるよな』
「え?何?聞こえなかった!」
『小さい声で言ったもん』
「ねぇ!悪口ー?教えてよ」
『悪口ちゃう。ただ少し
……寂しくなっただけ。』
珍しい。
紫耀がこんなに素直に寂しい、なんて口にするのは。
何かあったのかな、
そう思って何も言わずに首に回した腕をギュッ、とした。
1200人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れい(プロフ) - 何度も読み返すほど大好きな作品です!!更新待ってます、、、!! (2022年5月30日 18時) (レス) id: bbf3e49cee (このIDを非表示/違反報告)
miiika(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。。久しぶりに読み返しました。密かに更新まってます。。 (2020年5月31日 21時) (レス) id: bda362bf51 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - めぐさん» この作品好きすぎて何度も読んでます!!!!ずっと更新されるの待ってます(;;) (2018年12月9日 21時) (レス) id: 91e5585f91 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 大好きな小説なんですが、もう更新されませんか?( ; ; ) (2018年5月19日 23時) (レス) id: ad1d0b09df (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 更新まってます( ;∀;) (2017年10月20日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るりか | 作成日時:2016年12月11日 2時