64:危機 ページ15
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押して押されて、試合は進んでいく。
緑間に火神の応戦。
かといい秀徳は彼だけではないと思い知らされる、他選手のポテンシャルの高さ。
Aにもダブルチームで、牽制。
「いやー、A君。やっぱり同じPGとして本気で君を尊敬するわ」
『それはどうも、高尾君。大したことはできてないけど、ありがたく受け取っとくよその言葉』
二人を前にしても尚、不意をついて的確なパスを出すA。
本人の言う通り目立った動きではないが、これがあるとないとでは大きく違う。
だが周囲の二人にパスコースを縛られているのも事実。
緑間の相手は完全に火神に任せる他ない状況だった。
『……木吉さん！それは違う！！』
「なっ…！！」
途中、緑間にパスが通った瞬間、Aが珍しく声を上げた。
正直、何事かと思ったのが事実だ。
なんでも知っているように見えるA。
本当はそうではないにしろ、彼の切羽詰まった表情が、周囲に瞬間の不安を煽った。
そしてその不安は、Aの感じていた違和感に結びつく。
「シャレにならんな」
「マジかよ…」
緑間が引き付けて、パスを出す。
そんな未来を、誰が想像できただろうか。
彼は非常にプライドの高い男だ。
だからこそ、そんなことはないと思っていた。
あの緑間が、誰かを頼るなんて。
彼が一人で戦うことをやめ、真にチームとして一つになった秀徳。
それはもう、今までのものとは違い、手強いなんてものではないだろう。
「ただのピンチだ。終わったわけじゃない」
「あぁ。うろたえてる奴はAでも見てみろ」
視線の先、膝に手をつき俯くAの口元が、笑っていた。
前髪で目は見えないのに、どこも絶望していないのがはっきり分かる。
単純に、嬉しかったのだ。
元チームメイトとして、こんなことはなかったから。
「…まぁ、思ったよかアイツの消耗が激しいのはちょっと怖いけど」
「それでもこの試合、楽しんでこーぜ」
木吉の言葉でまた落ち着きを取り戻す。
結局、楽しんだものが勝ちなのだ。
諦めるなんて、ありえない。
『あ、すみません。何か大事な話でもしてました？』
「いや。Aそろそろやばいんじゃねって話」
『うーん、それなりですけどとりあえず下げるべきなのはテツヤじゃないですかね』
「え」
空気が緩むのは、Aが誰よりも落ち着いていたから。
彼にとってもこのピンチは、楽しむための糧であるのだ。
まだ試合は始まったばかりなのだから。
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ちさ子(プロフ) - 明後日打ったんで誤字になってて恥ずかしいです〜！！こちらこそレスありがとうございます！ (2019年12月19日 9時) (
レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん、(プロフ) - ちさ子さん» あわわわコメントありがとうございます！！ありがたいお言葉で頑張れます！ (2019年12月18日 16時) (レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
ちさ子(プロフ) - すごか面白くて、一気に読みました！！続き楽しみすぎて眠れないです笑笑 (2019年12月18日 3時) (レス) id: 62cdfd78f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2019年6月1日 0時
