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「三百点です」

Aは困ったように眉を下げつつも笑った。それを見、コナンはむすりとする。

「私が警察機関と繋がりのある喋れない探偵だと言える根拠が示されていないようですが……どうお考えで?」

コナンはその問いに焦りを覚えたりはしなかった。
別段、今更焦る質問でもあるまい、と余裕のある口振りで答える。

「質問をすると、笑う__記憶を辿れば根拠なんていくらでもあったよ、俺とAさんとの会話中にね」

Aはティーカップに手を伸ばす。

「何故それが根拠だと?」

コナンはふ、と笑った。

「その『質問』の大半が、Aさん自身に関わるものだった。
これはただの妄想にしか過ぎないけれど、Aさんは警察に自分の正体も口止めされている、『喋れない』の範疇に入っている。だから笑った、許可なしでは喋れないという事実を悟られないためにも」

そして。

「……笑っていた理由__人は失言しやすい生き物である故、言質をとられないためにも下手なことは言えない。だからあなたは “笑う” という選択を選んだんだ」

Aはしばらく黙っていた。何かを言いたげに一瞬口を開くが、声を発するには至らない、そのまま彼女が沈黙を破ることはなかった。

「……こんなにも分かりやすいことをどうしてわざわざ依頼として出してきたのか、理解しかねる。こんな単純なことなら、もっと」


Aは笑みを浮かべている。しかしそれは、あまりにも力ないものであった。

彼女の表情で、コナンは自分の何気ない発言の愚かさに気付かされた。


彼女は可能性を賭けていたのだ、江戸川コナンに。


昔々の諺の中に、『口は災いの元』といったものがあるが、あれは事実だ。意味は『不用意な発言は自分自身を滅ぼす要因となる』ということだが、これは言葉の持つ “表の顔” というやつにしか過ぎない。


……おおよその察しはついただろうか。



時刻、六時十八分。推理終了。

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設定タグ:名探偵コナン   
作品ジャンル:アニメ
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ゆあ(プロフ) - 雪夜さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです! 夢主の正体は明かされるまで時間がかかりそうです……(ただ単に私の執筆スピードが遅いだけの話である) (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
雪夜(プロフ) - 小説読ませて頂きました。 不思議ちゃんタイプかつミステリアス系女性…いいですね!最近コナンにハマってるのでこういう面白い感じの読みたかったんですよね!お喋り会の会話も面白いwww (2016年8月23日 20時) (レス) id: 9f458a58ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 南湖さん» コメントありがとうございます! そうなんです、FBIの方いらっしゃいますよ。私の方も早く登場させたいと思っているところでございます(笑)。 (2016年8月11日 23時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
南湖(プロフ) - ご存知ではありませんでした。夢主の知識量凄い……ところでそこにはFBIもいるんだけれど? (2016年8月11日 20時) (レス) id: 1cca674757 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - *.・赤井 揺芽・.*さん» コメントありがとうございます!三人称は初挑戦になるのに付け加え苦手でもあるのですが、まさかそれについてお褒めのコメントを頂けるとは……!まだまだ経験不足の未熟者ですが、暖かい目で見守っていただけると幸いです (2016年8月9日 0時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨屋まほろ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年7月31日 16時

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