ページ ページ5
「次はルートBです。
ルートBの欠点は、犯行は普通におこなえても凶器処理が難しい点です」
物は、魔法のように消せるわけではありませんから。
Aは首を振りながら言った。
コナンはその言葉を聞いて「魔法みたいに凶器を消すトリックはできるけど」と苦笑しながら呟く。
「『消す』『処理』と言うと、なんだかしっくりきませんねえ……『隠し方』の方が相応しいでしょうか」
店の壁に背を付けると、Aは軽く吐息をつき、瞳を細める。
それから間を置かず、君は……と言葉を続けた。
「君は、どうやら凶器は氷の中に隠したと考えているようですね」
「え?」
Aには、ルートB__コナンの推理は読めていた。
否、そういうように見せたと言った方が正しい。
凶器の隠し方。
型の中にナイフを入れ、その次には水を入れる。この後は施設に放っておき、後で型を回収する___手順を述べたAは、にこりと微笑んだ。
「探偵君、どうやら君は少々抜けているところがあるようですね」
「……抜けてるだって?」
「ええ、そうです。君は言葉の裏を読むことを知らない……ルートBは私も考えていましたよ」
“ 私も考えていましたよ ”
この言葉が示す意味___コナンはAに上手く誘導されていたのだ。
コナンの考えを読んだのではなく、元々考えてあった推理を上手い具合にコナンに出させ、恰も考えを読んだように見せた。
「……Aさん。あんた、一体何者だ」
鋭い目付きでAを睨むコナン。しかし、彼女は笑顔を崩すことはなかった。
「推理してみてください、私が貴方にとって何者なのか」
その言葉は彼に対する挑発か、はたまた単に少年に冗談を言っただけなのか___それは明らかではなかった。
「あ、もし本当に知りたいのなら……これを差し上げます。証拠や根拠もなしに推理なんて、できませんから」
子供のような無邪気な笑顔を見せたかと思うと、彼女は小さな紙を差し出した。
彼は渋々といった形で受け取る。
面白い推理、期待してます。私を裏切らないでくださいね。
彼女は耳元でそう囁くと、人混みの中に消えていった。
384人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ(プロフ) - 雪夜さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです! 夢主の正体は明かされるまで時間がかかりそうです……(ただ単に私の執筆スピードが遅いだけの話である) (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
雪夜(プロフ) - 小説読ませて頂きました。 不思議ちゃんタイプかつミステリアス系女性…いいですね!最近コナンにハマってるのでこういう面白い感じの読みたかったんですよね!お喋り会の会話も面白いwww (2016年8月23日 20時) (レス) id: 9f458a58ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 南湖さん» コメントありがとうございます! そうなんです、FBIの方いらっしゃいますよ。私の方も早く登場させたいと思っているところでございます(笑)。 (2016年8月11日 23時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
南湖(プロフ) - ご存知ではありませんでした。夢主の知識量凄い……ところでそこにはFBIもいるんだけれど? (2016年8月11日 20時) (レス) id: 1cca674757 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - *.・赤井 揺芽・.*さん» コメントありがとうございます!三人称は初挑戦になるのに付け加え苦手でもあるのですが、まさかそれについてお褒めのコメントを頂けるとは……!まだまだ経験不足の未熟者ですが、暖かい目で見守っていただけると幸いです (2016年8月9日 0時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ