ページ ページ34
3
「声の響き具合さ」
「響き具合？」
灰原は思わず聞き返す。彼女は場所の特定などできるのかと疑念を抱いているであろう表情をコナンに向けている。
コナンは、まあそう心配するな、と手をひらひらさせた。
「まず、一つ。俺の記憶違いでなければ、聞こえてきていた足音はコツコッと音を立てていたうえ、声も妙に反響していた」
「ちょっと待って。『も』ということは、足音も同じく響いていたということ？」
その問いかけにコナンは「あぁ」と、頷く。
「電話から聞こえたくらいだから、音が響きやすい場所……つまり、広い」
確信を持った面持ちで言い切る灰原。
そんな灰原に向けてコナンは「そうなるな」と、笑みを見せた。
「ここらで広い場所となると、米花デパートか地下駐車場ぐらいしか出てこない気がするが……」
コナンと推理に参加している博士は髭を触りながら言う。
「いや、その結論を出すのは早いぜ。博士が言ったんじゃねーか、『焦るな』ってな」
人差し指を顔を近くで立てそう言われてしまっては、博士は何も言い返すことが出来ず言い淀む。
「二つは、声の主の性別だ。俺の耳がおかしくなければ、あの声は男性。それも多分中年。聞こえてきた言葉以外にも、微かに別の男の声もあった」
すらりすらりと情報を並べていくコナン。
その情報を聞いていく中、灰原は怪訝そうに眉を潜めた。
「ちょっと聞きたいんだけれど、さっきの話に出てきた靴の音があるわよね？ あれ、どんな音だったの？」
質問を投げ掛けられて、コナンは一瞬きょとんとした顔をするもすぐに持ち直す。
「靴底が固いもの独特の音、だよ」
＿＿＿革靴。
灰原と博士は思わず呟く。
「今までの話の中で得られた情報を整理していくと、」
その一、音が響きやすい、“広い”場所。
その二、革靴を履いた、“男が多い”場所。
「そういえば、声がしっかり聞き取れたということは、裏を返せばそれは周囲は静かだったということになるわね」
「いい目着点だな、灰原」
「それはどうも」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 384人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ(プロフ) - 雪夜さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです！ 夢主の正体は明かされるまで時間がかかりそうです……(ただ単に私の執筆スピードが遅いだけの話である) (2016年8月24日 21時) (
レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
雪夜(プロフ) - 小説読ませて頂きました。 不思議ちゃんタイプかつミステリアス系女性…いいですね！最近コナンにハマってるのでこういう面白い感じの読みたかったんですよね！お喋り会の会話も面白いwww (2016年8月23日 20時) (レス) id: 9f458a58ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 南湖さん» コメントありがとうございます！ そうなんです、FBIの方いらっしゃいますよ。私の方も早く登場させたいと思っているところでございます(笑)。 (2016年8月11日 23時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
南湖(プロフ) - ご存知ではありませんでした。夢主の知識量凄い……ところでそこにはＦＢＩもいるんだけれど？ (2016年8月11日 20時) (レス) id: 1cca674757 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - *.･赤井 揺芽･.*さん» コメントありがとうございます！三人称は初挑戦になるのに付け加え苦手でもあるのですが、まさかそれについてお褒めのコメントを頂けるとは……！まだまだ経験不足の未熟者ですが、暖かい目で見守っていただけると幸いです (2016年8月9日 0時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
