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◇ ◇ ◇
「おはようございます」
少女は人の良さそうな笑みを浮かべる。
皆が恐怖する中、コナンはこの状況に頭を抱え、少女、Aは穏やかな笑顔を浮かべ、そして最後に。
「笑ってねぇでさっさと……!」
そして最後に、拳銃を持った____このバスをハイジャックした男は笑顔の少女を前に一歩後退りをした。
ハイジャック、と言うのは、ほんの数分前に起こった出来事である。
スキーウェアを着た男が乗ったかと思えば拳銃を発砲。
賑やかな車内はたちまち緊迫した空気の流れる場所へと変わってしまい、そして現在___携帯電話を回収しているところである。
……だったはずなのだが。
「ふむふむ……」
Aは目の前に向けられているものを感心したようにまじまじと眺める。
そうしたかと思えば、次には犯人含める乗客全員がどん引くことを口にしたのである。
「トカレフ、ですか。私、こんなに間近で拳銃を見たのは初めてです」
そう言って目を輝かせたA。
この言葉に乗客全員が頬を痙攣させたのは言うまでもない。
「確か口径7.62mm、銃身長は115mmで有効射程が50m、でしたよね。正式名称は『トゥルスキー・トカレヴァ1930/33』なんですよ。ご存じでした?」
満足気に微笑む。しかしその後「ちなみにですが、私は拳銃マニアではないのです」と陽気に言葉を続けるのだった。
これには男も参ってしまったようで「分かったからさっさと携帯電話を出せ!」と脅し言葉など一切出さずに携帯を出すよう促した。
「はい、携帯電話です」
にっこり微笑んで携帯を男に渡す。
男は携帯を手に取るとその後は何も言うことなくAに背を向けて運転席の方へ歩いていった。
しかし、そこへ丁度居合わせていた帝丹高校英語教師である外国人女性__ジョディは組んでいた足を右から左へと変えると、男の足を見事に引っ掻けた。
「あらら」
ジョディの足に気づいていた彼女は声を零す。そして “ その ” 行動を見てくすりと笑った。
「拳銃の取り扱いくらい、もう少ししっかり学んでおいた方が良いと思うんですけどね」
困ったような声色を出す彼女だったが表情は笑顔のままである。
男とジョディのやり取りを途中まで見ると、彼女はゆっくりと目を瞑った。
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ゆあ(プロフ) - 雪夜さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです! 夢主の正体は明かされるまで時間がかかりそうです……(ただ単に私の執筆スピードが遅いだけの話である) (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
雪夜(プロフ) - 小説読ませて頂きました。 不思議ちゃんタイプかつミステリアス系女性…いいですね!最近コナンにハマってるのでこういう面白い感じの読みたかったんですよね!お喋り会の会話も面白いwww (2016年8月23日 20時) (レス) id: 9f458a58ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 南湖さん» コメントありがとうございます! そうなんです、FBIの方いらっしゃいますよ。私の方も早く登場させたいと思っているところでございます(笑)。 (2016年8月11日 23時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
南湖(プロフ) - ご存知ではありませんでした。夢主の知識量凄い……ところでそこにはFBIもいるんだけれど? (2016年8月11日 20時) (レス) id: 1cca674757 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - *.・赤井 揺芽・.*さん» コメントありがとうございます!三人称は初挑戦になるのに付け加え苦手でもあるのですが、まさかそれについてお褒めのコメントを頂けるとは……!まだまだ経験不足の未熟者ですが、暖かい目で見守っていただけると幸いです (2016年8月9日 0時) (レス) id: 8301c7292f (このIDを非表示/違反報告)
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