漆黒の禍狗はパパになったようです

はじめてのごはん ページ9

細胞様、リクエストありがとうございます！
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「んま！まんま！」

子供用の椅子に座った治春が小さな手でぴたぴたとテーブルを叩き、空腹を訴える。

最後にAからミルクを貰ってから三時間も経っているのだ。空腹なのも無理も無い。

「はいはい、治春ちゃん、お腹空いたね〜、今まんま作って来たよ〜」

台所から、Aが小さな椀に滑らかに磨り潰され、とろとろになった粥を入れてやって来た。

そして、おもむろに

「はい、パパ。」

と云って、椀と、赤ん坊用の小さな匙を渡してきた。

「Aは、良いのか？初めての離乳食だろう？」

「うん。だって、ミルクは何時も私があげてたし、今日はせっかく龍の非番の日だから。」

其に、治春ちゃんもパパに食べさせて貰いたいよねー？と云って、Aが治春の頬をつつくと、治春はきゃっきゃっと笑いながらAの指を掴んだ。

「…解った。僕がやろう。」

僕はそう云って、匙に粥を掬い、治春の前に出す。

「…ほら、治春。旨いぞ。…あー」

其の儘、僕につられ口を開けた治春の口に匙を入れると、ごっくん、と上手に飲み込んだ。

「あー！まんま！まー！」

最初の内は、初めての味に驚いていたが、美味しかったらしい。もっと、と云う様に身を乗り出してきた。

「うわあ！治春ちゃん、上手にごっくん出来たね〜！すごいすごい！」

隣でビデオカメラを構えながら、Aが治春の頭を撫でる。

「大きくなったな、治春。」

此れから、もっと色んな物が食べられる様になったら、皆で沢山美味しいものを食べよう。

そんな幸せな未来を想像しながら、僕は愛娘にもう一杯、匙を差し出した。

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