優等生くんの裏の顔【knmc】

20:惹かれていたのかもしれない ページ20

剣持side




連絡を入れた後、すぐに旧校舎の屋上へ向かった。
今回リストアップされていた人物は杉本さんだけだ。

…捕まり次第、始まる。


時間は待ってくれない。
急ぐしかないんだ。



正直言うと、なぜ自分がこんなに焦っているのかわからない。



杉本さんが洗脳され、組織側の人間になってしまったとしても
誰彼構わず立ち塞がる奴は倒すだけのはずだった。

だけど、杉本さんは傷つけたくないんだ。

人付き合いなんて広く浅くがちょうどいい。
そう思っていた。








杉本さんは、こんな俺を『自分らしくていい』と言ってくれた。

…普通は引くだろ。なんだよ、ギャップ萌えって。









そんな彼女らしい一面に、惹かれていたのかもしれない。

時折ぶっ飛んだ思考をしていて
でも変な時に鋭くて

…誰よりも他人の事を考えて動いているところに。









屋上へと続く階段を駆け上がり、ドアを開け放つ。
皆それぞれの武器を持って立っていた。
俺も愛用のギターを手に取り、皆を見る。




「行くぞ」




おう、と威勢のいい返事が聞こえる。



2434技術研究所の場所は把握している。
三枝君が用意してくれた車に乗り込んで周辺まで行く。









＊









移動中、誰も何も話さなかった。

緊張しているのか、集中しているのか。
はたまた闘志に身を委ねているのか。



乗って来た車を降り、武器を片手に研究所へ乗り込む。


出入り口の扉は轟さんの銃で破壊。



「おりゃぁあああああ！」



彼女もやっぱり戦闘狂だ。
残ったドアの残骸は蹴り飛ばす。





砂埃が舞う中、彼女の姿を探す。





＿＿＿＿＿＿＿＿ 見つけた。

両手両足が拘束されたまま連れていかれそうになっている。








「Aっ！！！」

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