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悲しそうな顔をしているのに、瞳はとても愛おしいと語っていて、苦しいのはレンなのに私も苦しい。
『いつもはレディ達を受け止めて来たのに、キミを泣かせてしまうとはね。』
『泣いてなんかないよ…』
強がりの言葉をダメにしてしまうように涙がぽろぽろと零れていく。
苦しくて、苦しくて。
息が詰まってしまいそう。
『…Aちゃんは涙を流す姿も綺麗だね。』
涙を優しく指で拭っては困ったように笑う。
困らせているのが私だと考えなくてもわかるのに、痛む胸は涙を止めさせる気なんてない。
『レンは優しいね』
『レディ相手だし、Aちゃんだからね。』
ちゅっ と私の目元にキスをしては幸せそうに笑う。
甘くて、優しくて、でも苦しいキス。
『…ありがとう、レン。
私の事を好きになってくれて。』
頬を撫でていた少し冷たかった手は暖かくなっていて、その手を上から握る。
大きくて、骨ばった男らしい手は酷く安心できた。
『私は、レンの気持ちに答えられないかもしれない。
だけどね、私凄く嬉しかったよ。』
『それが聞けただけで俺は十分だよ。』
辛いはずなのに笑うレンにまた泣きそうになった。
でも、これ以上は泣けないから誤魔化すように私も笑ってみせた。
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作者名:カエデ | 作成日時:2019年12月5日 6時