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「今、鎖を外してやる」
ナズマの意識がなくなったことを確認すると、オビトはすぐにサクラの元に駆け寄り
、繋がれた鎖をクナイで断ち切った。鎖の輪が弾けると同時にバランスを失い、よろけたサクラの身体をオビトが支える。
「あ…ごめんなさい!」
サクラは慌てて、離れようと手で軽くオビトの胸を押した。しかしオビトはそれを許さず、サクラを自分の胸へと押し戻す。そしてそのまま腕をサクラの腰に回し抱き竦めた。
「オ…オビトさん……」
突然のことにサクラの声は上ずり、頭が真っ白になった。
腕を掴む力は強かった。まるで何処にも逃さないかのように。しかし、それでいて彼の腕の中は初めて出会った頃には無かった人間の温かさがしっかりとそこにあった。
チャクラをコントロールすればオビトの腕を引き剥がすことなど容易いことだったが、サクラは敢えてそれをしなかった。
何故だろう。この人の腕の中にいると
…なんだか安心する。
緊張で強ばっていた身体からゆっくりと力が抜けていく。トクン、トクンと鼓動するオビトの心音を感じながら、サクラは胸の中にゆっくりと顔を埋めた。
自分よりひと回りもふた回りも大きなこの腕の中は自分が抱える不安や劣等感までも受け止めてくれうような気がした。
続く
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時