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「人数は何人だ」
……流石にそれは教えられない。
サクラは今度は答えず黙った。
「……まあいい。もう一人いるのは確認済みだ。お前は人質としてそこにいてもらう」
ナズマはサクラから手を離した。急に気管の通りが良くなりサクラは咳き込んだ。
咳がおさまるとキツく歯軋りをした。手に力を入れようとしても、痺れがまだ残っていてチャクラが思うように練れなかった。
「残りの奴も殺し終えたら売っ払ってやるよ。若い女も高値で売れるからな」
ナズマの下碑た薄笑いを不快に思い、サクラは彼を睨み付けた。
目の前に敵がいるのに、指一本触れることができないなんて……
悔しさでサクラの身体が小刻みに震えた。
話を終え、そのまま外に出て行こうとするナズマにサクラは叫んだ。
「あなたは雷の国でも重宝された忍だと聞いていたわ!それなのに裏切って…こんなくだらないことをして恥ずかしいと思わないの!?」
サクラが前に身を乗り出すと、鎖がジャラジャラと音を立てて揺れた。ナズマは背を向けたまま、足を止めた。
「……俺は今まで危険な任務の数々をこなしてきた。だがリスクが伴うにも関わらず、それ相応の報酬は与えられない。それが馬鹿馬鹿しく思えてきてな」
「任務はお金の為だけじゃない。任務によって救われる人がたくさんいるし、国の評判だって上がって依頼が増える……。そうすれば自然と国が豊かになってきっと暮らしが良く……」
「そんな綺麗事は聞き飽きたんだよ」
ナズマはサクラの言葉を遮った。
「言ってしまえば、俺はただ楽に金儲けがしたいだけだ。それ以外のことは俺にとってはどうでもいい。里の評判が下がろうが俺にとっては知ったことではないからな」
「……今までお世話になってきた里によくそんな風に言えるわね」
「ハッ!俺は里に恩なんぞ1ミリ足りとも感じちゃいねえよ。俺が暴れて、里の評判が下がるなら大喜びだ」
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いずな - オビトェ… (2018年11月30日 23時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘ゆら | 作成日時:2018年11月29日 2時