月の少女は口数が少ない その伍

197話 ページ5

バキィンッ



「「『！？』」」



何かが壊れる音がして時透くん達に視線を向ければ時透くんの斬撃で絡繰の顔や鎧が壊れていた



「あっ鎧が…」



絡繰が壊れていく姿を目の当たりにした小鉄くんはショックだったのか何処かへ走り去って行く



ダッ



「小鉄くん！！」



『追いかけよう！』



炭治郎の鼻を頼りに追いかけると木の上で踞っている小鉄くんを見つけた



『危ないから降りてきて…小鉄くん！』



「ほっ、放っておいて下さい！」



「小鉄くん…俺にできることがあれば手伝うよ！人形のことを諦めちゃだめだ！君には未来がある。十年後二十年後の自分の為にも頑張らないと今できないこともいつかできるようになるから！」



「……ならないよ。自分で自分が駄目な奴だってわかるもんっ俺の代で…俺のせいで全部終わりだよ…」



『……』



泣いて自分を責める小鉄くんにそっと近づきお面がズレて露になっている顎にデコピンを打つ



「イデッ」



『弱気にならない…まだ何もやってないのに諦めてどうするの…？例え君があの絡繰を直せなくてもそれを引き継がせる…引き継ぐ思いが大事なんじゃないかな…？』



「！！」



「その通り！」



「！？」



音もなく枝にぶら下がった炭治郎に小鉄くんは驚く



「俺は鬼舞辻無惨を倒したいと思っているけれど鬼になった妹を助けたいと思っているけれど志半ばで死ぬかもしれない」



「でも必ず誰かがやり遂げてくれると信じてる。俺たちが…繋いでもらった命で上弦の鬼を倒したように俺たちが繋いだ命がいつか必ず倒してくれるはずだから…一緒に頑張ろう！！」



ギュッ



「……うん。俺人形が壊れるの見たくなかったけど決心するよ。戦闘訓練は夜までかかるはずだから心の準備して見届ける…ちゃんと」



『小鉄くん…！』



よかった。心を決めてくれたみたい

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