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A…
遠くで誰かが呼ぶ声がする。
ああ、そうだ、返事しなきゃ。
名前を呼ばれたら大きな返事を
「はいっ！！」
「うわっ」
大きな自分の返事で
私は微睡みから覚醒した。
場所は居酒屋カウンター。
右隣には驚いた顔の登坂と
左隣にはあははと笑う隆二。
「いきなりでかい声で返事するなよ！ビビるじゃん」
「臣が呼んだからじゃない？」
登坂と隆二の会話が耳にはいってきて
ようやく私も頭が働き出した。
そうだここ、まだ居酒屋。
「A、歩ける？そろそろ出ようかと思うんだけど」
隆二が私の顔を覗き込む。
私は黙ってゆっくりと
ハイチェアーの下へと右足を下ろした。
だけど
力は、入らない。
「うわわっ」
「Aっ」
ガクンと膝を折る私が完全に倒れ込む前に
私は両側から腕を支えられる。
「あ…っぶね！」
「大丈夫じゃなさそうだね」
幾度となく
この酒のやたら強い同期たちには
こういう醜態をさらしているので
悲しいかな、申し訳ないことにも
二人の、酔っ払いの私の扱いは
手慣れたものだった。
「タクるか」
「そうだね。臣、帰りしなにお願いしていい？」
いつもの流れでいくと
私の家から近い臣が、うちの前まで送り届けてくれることになる。
二人の会話から今回もそうなりそうだ。
ただ私に、返事をする余裕はない。
「頭…いたい…」
「あー、ほら。タクシーくるまでもう少し頑張れ」
隆二がタクシーを捕まえにいっている間
私は登坂に体重を預ける形になる。
ほぼ抱き抱えられている状態の私。
本当にいつもながら、申し訳ない。
「こんなんじゃ健二郎くんの彼女は無理だな」
「…なんでよう」
「健二郎くん酒弱いから。
二人して死んでたら誰が助けんの」
「……登坂呼ぶ」
そう呟くと
登坂は、ははっと笑った。
「誰が行くか、バーカ」
口は悪いけど
登坂の“バーカ“は優しい。
絶対に叶わない恋だなんて言いながら
こうして冗談みたいな話はしてくれるんだから
何だかんだ
意地悪なくせして、優しいとこもあるんだ。
「タクシー捕まったから乗って」
「ありがと隆二！…ほら、行くぞ」
登坂に引きずられながらタクシーに乗ると
隆二がじゃあね、と私の頭を叩く。
「送り狼に気をつけて」
「誰が。ありえねーよ」
おやすみ、と言う隆二の声が遠くなって
バタンと
タクシーのドアが閉まる音がした。
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じゅん(プロフ) - お久しぶりです。更新ありがとうございます！ (2021年7月11日 16時) (
レス) id: c029804656 (このIDを非表示/違反報告)
ちはる(プロフ) - もう、お話の続き見れないですか？(*´ω｀*)わたし、NEEさんの小説も東京も大好きです(*´∀`) (2020年5月13日 10時) (レス) id: 48e30b0c83 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさんだー (￣□￣;)!!！・・好きです(///∇///) (2019年8月25日 0時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - NEEさん、お帰りなさい！！またツクールに来るのが楽しみになりました★ (2019年8月24日 20時) (レス) id: 1e1bf63da6 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - いいですっ！こんな同僚2人私も欲しいです((笑))。しかも私が好きな臣ちゃん。そしてカタオモイには健ちゃん…たまりません！これからも楽しみにしています！ (2019年8月19日 20時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2019年8月18日 1時
