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9−隆二 ページ9

「あーあ、寝ちゃった」


臣から言われた言葉でやけ酒のように飲みまくったA。
予想通り、撃沈。

まぁあんな飲み方したら
こうなることは、わかってた結果だけどね。



「臣、今日は意地悪だったんじゃない?」



居酒屋のカウンター席。

2つ隣の席で焼酎を傾け呑む臣に話し掛けると
臣は
俺と臣の間で潰れているAを一瞥して
また視線をグラスに戻した。

さすがに、ちょっと言い過ぎたと思ってるんだろうな。




「…こいつ、いい加減諦めたらいいのに」

「一途だよねー」

「実るわけないのに」



冷たい言葉とは裏腹に
臣がAに向ける視線は優しい。




わかってるよ
めっちゃ心配してんでしょ。

諦めさせるような冷たい言葉も
これ以上Aを傷付けたくないから

余計な期待を持たせないように
予防線のつもりなんだよね?





「本当、臣ってAのこと好きだよね」

「は?好きとか…別にそんなんじゃないから」



素直じゃないな。
顔にはめっちゃ出てるのに。


臣は否定するけど
臣が特定の彼女を作らない理由って

俺はAが原因だと思ってるんだけどね。




「俺は健二郎くんと彼女の仲を邪魔したくないだけ。
ついでに同期を悪者にしたくないだけ」

「Aがもし仮に健二郎さん奪っちゃったら、悪い女のレッテル貼られちゃうだろうしねー」



わかりにくい臣の愛情表現。

生憎、Aには伝わってなさそうだけど。



「俺も、好きな子を悪人にしたくはないなー」

「…好きな子?ナニソレ」

「ん?A。俺は好きだよ?」



俺がそう言うと
臣は一瞬、目を見開いた。

あはは、その反応
わりと新鮮。



「……隆二、女の趣味変えたの?」

「え?俺は昔からAのこと可愛いと思ってるよ」

「……へぇ、初耳」

「わざわざ言わなくない?

俺、昔からAも臣も好きだよ」





そこまで言うと、

なんだ、その好きかよ

と臣は脱力した。



「紛らわしいわ!一瞬だまされかけた」


そう言いながら
臣の表情は少し安心したように笑ったあと
いつものクールなそれに戻っていた。




だまされるってなに?

俺は本心しか言ってないんだけどな。



臣のことも
Aのことも
俺は好きだけど




ただ俺はね




男女の間に純粋な友情なんて存在しないって

そう、思ってるから。

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じゅん(プロフ) - お久しぶりです。更新ありがとうございます! (2021年7月11日 16時) (レス) id: c029804656 (このIDを非表示/違反報告)
ちはる(プロフ) - もう、お話の続き見れないですか?(*´ω`*)わたし、NEEさんの小説も東京も大好きです(*´∀`) (2020年5月13日 10時) (レス) id: 48e30b0c83 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさんだー ( ̄□ ̄;)!!!・・好きです(///∇///) (2019年8月25日 0時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - NEEさん、お帰りなさい!!またツクールに来るのが楽しみになりました★ (2019年8月24日 20時) (レス) id: 1e1bf63da6 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - いいですっ!こんな同僚2人私も欲しいです((笑))。しかも私が好きな臣ちゃん。そしてカタオモイには健ちゃん…たまりません!これからも楽しみにしています! (2019年8月19日 20時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2019年8月18日 1時

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