【Dr.X】入院生活も案外悪くない

カルテ３ ページ4

結局

あれから佐々木さんもお仕事だそうで、病室でひとりダラダラとテレビを見ていた



…のが数分前

先ほどAは院内探索へと旅立ったのである
なんてったって入院したのはたった2日前
その2日間は準備やらなんやらで忙しかったからまともに院内を見ていない
さらに暇を持て余すくらいなら、知り合いの一人や二人つくってこようという魂胆もあったりする





てなわけで、思うがままに歩いてきたわけだが



『もしかして私、方向音痴だったりするのかな』



ここ、どこ？
あれ？私もともと何棟にいたっけ？
部屋番号も覚えてないし

え？まさかの迷子？うそでしょ


『わーー救えない高校生になって迷子とか佐々木さんに笑われる』

実のところ笑われても見つけてもらえたらそれでいいんだけど
このまま彷徨うくらいなら、うん
全然マシ




『佐々木さーんどこー』


くるくると周りを見回してみる

でもいない



『おーい佐々木ー』


次は少し先に進んでみた
細い分かれ道を一つずつ確認して行く

でもやっぱりいない




『さぁあああさぁあああきぃいいい！！』


次は大声で叫んでみた


でもやっぱりいな…


「ちょっと誰？！うるさいんだけど！！」

『えっえっえっごめんなさい？！』

いた

しかしそれは佐々木さんではなく、女性の声のようだった

咄嗟にあやまったものの、どこから声が聞こえたのか全くわからない
そしてどこを見回しても誰もでてこない

え、もしかして空耳？いやいやそんなはずは…


なんて葛藤を真顔の裏に隠した私の頭上から呆れた声が降ってきた


「ったく、もぉー」


手すりに凭れ、頬杖をつきながらこちらを見つめる女性が一人




『…わぁーお』





これはまた美人さんではないか

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