＊ ページ3
「アーヤっ！！！」
角を曲がり、少し薄暗く、人気の少ない路地に入った時。
私はとうとう、腕を掴まれた。
「アーヤ…………っ」
振り返ることが出来ずに、うつ向いたままの私。
黒木君は、苛立ったように、腕を握る手に力を込めたんだ。
「アーヤ、どうして いきなり走ったの？」
文字にすると いかにも普通のセリフらしいけど、実際はそんなものじゃなくて。
苛立ちと 全力で走った後の息切れを含ませながらの その言葉は、いつになく怖く、私に耳に聞こえたんだ。
怒ってる……んだ。
そりゃそうか……。いきなり 背を向けて走り出されたら、気を悪くする……よね。
「ごめん…なさい」
「理由を、尋ねてるんだけど」
…………っ。
今までに 聞いたこともないぐらいの荒々しさに、肩が震えた。
黒木君は、自身の苛立ちを押し殺すように、大きなため息をついた。
そして、ほんの少し、口調を和らげたんだ。
「……何か、あった？どうしたの？」
……何かあったとすれば、
それは、黒木君のせい、なんだよ…。
心で、そう呟く。
そして、さらに深く俯いたんだ。
でも、涙は隠せても、しゃくりあげてくるものは抑えられなくて、
不規則に肩を上下させる私を、黒木君は訝しく思ったみたいだった。
「……アーヤ？
泣いてるの？」
顔が 赤くなる。
胸の奥さえ、熱くなった。
「アーヤ？ どうしたの？」
黒木君の追及は続く。
私は、唇を噛み締めた。
「アーヤっ！」
黒木君の手が、頬に被せられる。
私は 優しく、でも 少し強引に 顔を上げさせられた。
私の表情を見た黒木君は、目を見開いたんだ。
「…………アーヤ………？」
どうして、泣いてるの
そう 擦れた声が聞こえる。
きっと、私の分かりやすい感情が、瞳に出ていたんだろう。
黒木君は、苦し気に 目を細めた。
「……俺の、せい？」
違う！
違うよ！
こんなのは、私の勝手な感情で。
黒木君の事が好きだから、勝手な嫉妬を抱いているだけで………
………そう、なんだ。
……好きなんだよ、黒木君が……。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
anju - 表現方法が凄く良かったです！！これからも頑張ってください！ (2018年5月5日 23時) (
レス) id: e462906045 (このIDを非表示/違反報告)
koyuki - すっごく面白かったです！黒木くんやっぱりいいですね (2017年3月23日 21時) (レス) id: 525ef60155 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - La merさん» はっはっは、もはや自棄だよメル君←でも、今回はそう赤面するシーンないと思うんだけどなあ？（笑）まあ、珍しく甘々書いてみましたハナ氏です。（ひろしです。みたい）おう、首を絞めた張本人さん、コメントありがとう←（笑） (2017年1月11日 17時) (レス) id: d317c487ea (このIDを非表示/違反報告)
La mer - あ、あ、貴女……ハナハナハナさん（めっちゃ動揺してる）いつも言ってるけど、こぉんな！ こ〜〜んな小っ恥ずかしい文章をよく打てたね！ 考えたね！ 思い付いたねっ！？ 思わず笑っちゃったじゃね〜か← そうです、私がハナの首を絞めました（どんな告白だよ） (2017年1月10日 19時) (レス) id: 25fa7c6070 (このIDを非表示/違反報告)
La mer - 新作楽しみにしてる(*´ω｀*)（おいプレッシャー）そしてニコ氏、ハナと同じくドンマイだ（笑） (2017年1月7日 11時) (レス) id: a1a70eac32 (このIDを非表示/違反報告)
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