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「きゃああああああ!!」
「あっはっはっはっは!!!」
甲高い悲鳴、そしてバカ笑い、同時にボスン!とくぐもった音。
「……大丈夫かよ、立花」
視界が白に染まっていたのを助け起こしてくれたのは、下で待機していてくれたらしい上杉君。
「あはは……ありがとう」
そう言って苦笑いする私の横を、「あっはっはっはっはっぁ____」とエコーを伴った笑いを上げる若武が滑り去っていった。
・
今日は、KZの皆とスキーに来たの。
近くに巨大なスキー場が建設されたという事で、これは行くしかないだろ!という若武のごり押しに負け、やって来た私達。
私ね……スキー、やったことないの。
まあ なんとかなるか、なんて楽な気持ちで来たけど…甘かった。
あまりにも滑れなさ過ぎて皆が心配するレベル。
あ、ここ重要ね。呆れる、じゃなくて、もはや心配する、だから。
そこで、上杉君がコーチ役を買って出てくれたんだ。
悪いよ、って言ったんだけれど、「そのレベルで滑り続けて怪我でもされたら困る」という言葉に撃沈。
反論の余地もなく、お言葉に甘えることにした……しくしく。
「アーヤ、お前本当に激下手だな」
通り過ぎて行ったはずの若武がスウッと戻ってきて、肩をすくめた。
「俺、現実でスキーしてて雪だるまになるやつ初めて見たぜ」
うるさい。
「ま、向き不向きはあるよ、誰だってね」
その後ろからやってきて若武の肩を抱き、そう言ったのは黒木君。その後ろからはまた、小塚君、翼、忍と続いてやってきた。
「そうそう。あんまり言っちゃ可哀想だよ若武」
「まあアーヤのは絶望的なレベルだけどね」
「でもどんどん雪だるまになっていく立花はちょっと面白かったぞ」
その皆の身のこなしが明らかにスキー上級者のそれで、私は打ちのめされてしまい、忍の意味分からん言葉に反応もできなかったの。
うう、神様って、いないんだきっと。
頭も良くて、運動もできるなんて、世の中不平等だ、不公平だ。
どうせ私は雪だるまよ。雪だるまはスキーに来ても雪だるまだけ作っとけばいいのよ。
なんだか腹が立って、私は手近の雪をこっそり拳大に固めた。
そして、
「若武」
そう言ってこちらを向いたその顔面にぶつけてやる。
「あっ!!やりやがった!」
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花畑(プロフ) - スフレさん» はじめまして。作品が好きと言うお言葉、すごくすごく嬉しいです。あ、いえ、文章の書き方は参考にしないほうが…(笑)私としてはちゃんと皆様に意味が伝わっているか不安なぐらいなもんですから(^^; はい、頑張ります!コメント本当にありがとうございました! (2018年12月30日 23時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
スフレ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の書く作品が、とても好きです!文章の書き方とか、勉強になります。今回の話は、皆が仲良さげで、とっても楽しそうで、読んでいるこちらも楽しくなりました。これからも頑張って下さい。長文失礼しました。 (2018年12月30日 18時) (レス) id: a85105c897 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - セダムさん» わわ、セダムさん。コメントありがとうございます!わちゃわちゃしたKZ、良いですよね(^^)他の作品も読んでいただいているなんて、とても嬉しいです。受験生なので更新は遅くなりがちですが、待ってていただけるとありがたいです。本当にありがとうございました! (2018年12月26日 12時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
セダム - 短編なのに、KZのわちゃわちゃ感とか、アーヤへの思いとかが伝わってきてとても面白かったです。他の作品もどれも面白くて尊敬してます! 毎回面白い作品をありがとうございます!応援しています! (2018年12月26日 0時) (レス) id: b3d79e5fc7 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - はるはるさん» 雰囲気が好みとは嬉しいお言葉です。こういう雰囲気のKZ、良いですよね(^^)他の作品も読んでくださっているなんて、すごい。ありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです。コメント本当にありがとうございました!! (2018年12月25日 15時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
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