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12 - END/五年後、同じ空の下 ページ13







「兄の姿などどこにも無かったんじゃ、服や生活用品まで、
 まるで仁科麻貴という存在が始めからなかったように」


「はい、残っていたのは、机の上の数百万円という大金のみ」


「この意味わかんねェ事案を事件だと広報が取り上げてから、なかなかほとぼりが冷めねぇんで
 うちの土方、毎日ご立腹で」





土方さんと仁科さんが付き合い始める、という予期せぬ事態は微笑ましいものとして
……彼女を傷つけ、俺等が動くきっかけとなった仁科麻貴はあれ以来すっかり姿を消してしまった。

沖田さんは、「見つけたらぶん殴って刻んで家畜の餌にしてやる」と危ない事を言っていたが
俺はなんというか……自らを糺す為にどこかに行ってしまったのではないかと考えていた。



もし俺の考えが的中したのなら、仁科麻貴が、仁科Aに近づくことは二度とないだろう。























『主には感謝している。 彼女を救ってくれて、有難う』





そんな、昔言われた教師の言葉が、突然脳裏を霞めた。

隣で手を繋ぐAが、「どうしたの?」と尋ねてきた。





「いいや、なんでもない」

「…ヘンな十四郎」





そういえば、このくらいの季節だったか、

きっと彼女も覚えているだろう。






「…十四郎、見て……」






ふと、Aが俺の服の裾を引っ張った。

目線の先には、大きなお腹でしきりに汗を拭く妊婦さんがいる。



Aは嬉しそうに近づいて、「何か月ですか?」と聞いた。







「もう五か月になります、」






そう言ってとても幸せそうに笑う妊婦さんのお腹に触れたAは、

すぐにお礼をして、俺の元に戻ってきた。







「びっくりした、触った途端に、掌にドシンって!」

「珍しいな、蹴ったのか」

「そう!………それで」






興奮するAの隣をすり抜けて、駆けていった短髪の男。






「もう、あなたったらお医者さんは順調って言ってたでしょう?」

『ごめんごめん、どうにも心配で……』






こちらまで笑顔になってしまうほど、絵になった親子だった。

一度だけ振り向いて、Aの手を取った









「ちゃんと最後まで聞いてったら!






 私とね、





 ……苗字がおんなじだったの!」







 

 





Fin*





.

あとがき→←11/凍えてしまうからと、キス



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月詠 - めっちゃいいです十四郎に抱きしめられたァァァァァァァァ有難うございます作者さんこれで明日も野球部のマネ頑張れます (2014年12月28日 2時) (レス) id: 42747b28bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちか | 作成日時:2014年8月17日 1時

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