STORY 19 ページ19
＊
目を開ければ薄汚れた天井が見えた。
ロザリアは起き上がろうとしたが妙に動きづらく、見ると首から足までが毛布で無造作に包まれていた。
拘束を解かれてからここへ来るまでの記憶がない。おそらく途中で気を失ってしまったのだろう。
「死なれちゃ困るんだよ」
声のする方に顔を向けると先ほど自分を拷問していた男――確かジョンと呼ばれていた――が少し距離を置いて退屈そうに椅子に腰かけていた。
「……ったく世話焼かせやがって。気絶するなら牢でしろよ。運ぶ俺の身にもなれ。まあ、ガキにはキツかったか」
ジョンはそこで笑うと立ち上がり、乱暴な手つきでロザリアの身体を包んでいた毛布を剥ぎ取った。生傷だらけの細い裸体が露わになる。
「マシューからお前が十三だと聞いた時は耳を疑ったよ。無駄に良い身体しやがって」
骨ばった指を脇腹の傷に食い込ませると、ロザリアは痛みに呻いて身体をよじる。それを見て興奮したのか、ジョンは少女の上に馬乗りになって片手を彼女の首にかける。
「処刑されるなんて考えたくない。お前だけは俺の手で殺したくて……殺したくてたまらねぇんだよ。どうすりゃいい？ 長い間どんなに拷問しててもこんなことは今までなかったのに。殺したら……もし殺せたら俺の物に出来るのに」
言ってからぞっとしたように彼は少女の首にかけていた手を離す。
「これじゃまるで死神じゃねぇか。ああ恐ろしい。訳わからねぇこと言わせるな魔女が」
「私は何もやってないわ。あなたが急にやってきたんじゃない。訳わからなくて恐ろしいのは私のほうよ」
このガキ。何でまだそんな目をしていられるんだ。本当は俺のことなんて怖くもなんともないだろう。
「小ネズミが」
「私の名前はロザリアよ」
「あ？ 何て言った？ 悪い、耳が遠くてな。俺も歳か」
「私をここまで運んでくれてありがとう」
「……は」
思いがけぬ返答にジョンは硬直する。はたからみたら面白い光景にも見えただろう。
数秒経って彼はロザリアの上から降りると何をしようか思いつかなかったのかおもむろに彼女の髪を一房摘むと強く引っ張った。
「痛い！ 何するの」
「ガキらしくなくて腹立つんだよ。もう少し泣いたり出来ねぇのか、可愛くねぇ」
「さっき十分叫んだじゃない！」
「一人で暮らしてるってのはメアリーの勘違いだったよ。居候の身だそうだが親は何してんだ？」
「……ここにはいない。私は売られたから」
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
