ホワイトデーシンドローム【d!】

作戦コード:初恋 ページ26

「ホワイトデーのお返し、一緒に食べへん？」

『うん！食べる〜』


今日も今日とて私はお兄ちゃんと一緒に居た。

バレンタインのお返し、と言って持ってきたのは私の大好きな和菓子だった。
色とりどりの和菓子が、キラキラと箱の中で輝いて見える。


どれも美味しそうだ。


『お兄ちゃん、ありがとう！』

「んふ、Aが食べたいって言っとったからな。昨日ちょうど見つけて買ってきたんよ」


喜ぶ私を愛おしそうに見つめて笑うお兄ちゃんは、きっと私のことを妹とでしか見てない。バレンタインの頃から変わらない関係は、そろそろ飽きてきた。

今日こそ、どんと一発！と思い、私は意気込んでいた。



「Aはどれ食べるん？」

『これがいいな』

「ん、はい」


指さしたのは、ホワイトデー限定のハート型の練り物。
普通、お兄ちゃんにあげるものだって？？いやいや、私が食べたいんだから、これは。

食欲大勢？欲望に忠実だって言って欲しいね。


「…そういえば、例の好きな人からはお返し来たん？」

『え、？あぁ、貰ったよ！』


多分、お兄ちゃんの言う好きな人は、私がついたバレンタインの時の嘘の話だろう。

【好きな人】はお兄ちゃんだから、嘘は言ってないけど。



お兄ちゃんに入れてもらった緑茶を飲み干して、席を立った。



『ショッピ君だよ』

「は、？」




『私の好きな人。ショッピ君』




今から本格的に落とすから、覚悟しててね。お兄ちゃん？

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