Episode.166 ページ24
｢未来を読んだところで、新たな問題が発生するだけだと君は思ったことがないか｣
その言葉に目を逸らした。思ったことがないか、と聞かれてしまえば答えはイエスだ。こんなことをしても堂々巡りなんじゃないかと、そう思ったことはたしかにある。でも、それでも何度だって繰り返してやると思ったのだ。
｢時を止めたって、結局それは応急処置だ。いつか物事は必ず終わりを迎える。未来を読むのだって、それと変わらないことだ｣
｢でも、その終わりを、変えられるかもしれないのに｣
｢終わりは次の始まりを生む。その先の未来も、君はそうやって自分好みになるまで修正するのか。それこそ愚行だ｣
グッとつまる。つまり彼は、未来を読む行為など無意味だと言いたいわけか。人間は自分の手で未来を切り開き、ズダボロになりながらも進んでいくと。それが正解なんだと、そう言いたいらしい。だが、そんなのあんまりじゃないか。どうせなら、綺麗なまま、幸せなまま終わりたいじゃないか。
｢幸せな未来に修正するのは、だめなんですか｣
｢君は干渉し過ぎた。結果、人々は混乱し、君に振り回される｣
Aの未来予知通りにしようとした村人を思い出してしまった。彼が未来を読んでしまったからじゃあない。Aが彼の未来に干渉し過ぎてしまった？だから彼は、未来に縛られた……？
｢人間はそんなに弱くない。幸せな未来を他人に示してやらずとも、やがてそれを自分で見つける｣
｢見つけ、られない人だっている！死んでしまう人もっ！｣
痛む部分を抑えながら必死に語る。自分が今までしてきたことを、否定され、無意味にされまいと。
｢俺の仲間にも死んでいった者はいる。生きていて欲しかったと、そうも思う｣
｢なら！｣｢だが｣
｢彼らは自らの行動に責任と決意を持っていた。彼らに生きる道を与えることは、同時に彼らのそれを曲げさせることになる｣
｢それは、生きることより大事なことですか！！｣
｢少なくとも、彼らにとってはそうだったはずだ｣
淡々と答えていくその男は、一体過去にどんな経験をしたんだろう。生きることより大事なことが、この世にあるか。そうまでして守りたい信念など、あっていいのか。
みんなもそうだった。自分の死よりプライドや仕事を心配したりして、自分には決してできないことだと思った。仲間の死と自分の死、それくらいしか同等のものがない。
(なんで)
(どうしてそこまで)
(分からない)
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Crow(プロフ) - 定期的に読みたくなっちゃいます。5、6周はしてるから内容覚えちゃいました笑 これからの活動も応援してます (2020年2月9日 15時) (
レス) id: e5ce766b8a (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - るこさん» こんな何度も感想下さって本当に有難う御座いますッ！お互いお疲れ様です！いつかリメイクした作品も読んでいただけると嬉しいですm(*_ _)m (2019年2月25日 23時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！毎度のこと一つ一つのお話が面白く、描写の仕方や、感情の表現の仕方などとても凝っていて、本当におもしろく話に引き込まれました。そして本当にお疲れ様でした！！番外編楽しみにしていますね！！！ (2019年2月25日 17時) (レス) id: c7737debdf (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ごみさん» ありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しい(泣)番外編もお楽しみください＜(_ _)＞ (2019年2月25日 17時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
ごみ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！途中から見始めましたが本当に面白かったです！番外編楽しみにしてます！ (2019年2月25日 16時) (レス) id: 83e9aedb9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年2月23日 20時
