【HP夢】進むような。 【ウィーズリー家】

． ページ20

とはいえ行方不明のクアッフルをそのまま放っておくわけにはいかないので、僕が探しに行くことになった。鬱蒼と茂る木々は背中に汗を滲ませ、喉を渇かせた。クアッフルはまだ見つかりそうにない。

「……水、もうちょっと持ってくればよかったな」

　振っても重さを感じられないミニサイズの水筒をポケットに突っ込みながら、また歩き始めた。夏のような蒸し暑さに思わずため息が漏れた。クィディッチをするのは楽しいが、こうしてボールを探している時間は物凄く時間の流れが遅く感じられる。こんなところで「アクシオ」をしたら、クアッフルが木々をなぎ倒しながら来る可能性もあるので安易には使うことが出来ない。

「マグルもびっくりの面倒っぷりだよなぁ」

　草をかき分けて、赤色が見えないか目を皿のようにして探す。そう独りごちた後、また顔を上げて奥へと進み始めた。


＿＿


「──あれ、ここどこだ」

　だいぶ深く森に入ってしまったようだった。後にも先にも道はなく、どこに行ったら抜け出せるのかも分からない。しかし、光の向こう側に人の姿が見えた。

「おーい！ あのー！」

　返事はない。仕方ないので、走ってそれを追いかける。やっと、やっと追いついて。

「──A？」
「……ねぇ、ドラゴンを探しに行こうよ」
「ドラゴンなら森にはいないよ。僕はドラゴンキーパーになったから分かったんだ」
「でも分からないよ？ もしかしたら、ドラゴンの赤ちゃんならいるかも！ ね？」

　好奇心に踊っている瞳に惹かれ、知らず知らずのうちに僕はAと歩き始めていた。なぜこんな辺鄙なところをAと二人で歩いているのか訳が分からなかったけれど、今は理由よりこの現実の方が大事にしたかった。

「……手、繋ぐか？」

　恐る恐るそう声をかける。

「ふふ、何、その言い方。気持ちは嬉しいけどさ、私の手──」
「っ、ちょっと、ここじゃ暑いもんな。ごめん」
「うん、まぁ……そんな感じ」


＿＿


　草むらをかき分けていたAがこえをあげた。なにか卵大の大きさのものをもっている。

「……あっ、チャーリー、みつかったよ！ これ、ドラゴンの卵かなぁ？」
「ほんとか？！ ……ちがうよ、これ、たぶん──」


＿＿


「クアッフルだ」

　気付けば森の外に出ていて、手にはクアッフルを抱えていた。クアッフルは元の容色を失っていて、くすんでいた。何故こうなったのだろう。

．→←「　」/ Charlie

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す