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甘えられるのは、君だけなんだ ページ40

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「…どうなのかな。そういう知識なら新一の方がたくさんあるでしょ?私が伝えられるのはこれだけだよ」

「そうか…まぁ取り敢えず頭に入れておく。恐らくこの列車が、このゲームの最終場面のはずだ。何としても奴を捕まえて、この世界から出るぞ」

俺はこの時、今残っている4人全員でクリアする事が出来ると思っていた。まだジャクッザリッパーと対峙してもいなかったが、そう思っていた。それに少なくとも目の前の、Aだけは守るとそう思っていたから言ったんだ。
俺だってこれがゲームで、実際に現実で死ぬのとは違う事くらい理解している。今までにゲームオーバーになった仲間だって、現実じゃないからこそ俺たちに後を託して消えた。
だからもうこの気持ちは理性じゃないんだ。そう思う。本能の部分でこいつには俺の横にいてほしいとそう思ってる。

「新一。焦っちゃだめだよ。たとえ何があっても必ず解決策はある。誰かが人為的に作った状況なら、必ず答えに辿り着く糸口はあるんだから。新一は焦ると偶に周りが見えなくなるから気を付けてよ。ね?」

にこりと笑ってそう言われた。俺に目線を合わせるようにしゃがんだ彼女の瞳には、何時も俺の心を見透かされいるように感じる。
だって彼女だけなのだ。
あの灰原でさえ心の中の焦りを見抜いた事はない。常に冷静沈着であろうと俺だって意識している。
けれど彼女だけ、Aにだけは見抜かれて、今みたいに言われるのだ。それが偶に悔しかったり、でも凄く嬉しい。いつも俺のことを見ててくれていると、そんな馬鹿な考えが証明されている様に感じるから。

「さってと!そろそろ蘭たちのところに行かないとね。準備できてる?コナン君」

立ち上がって尋ねてきた彼女。もう既に切り替えている。俺のことを“コナン”と呼ぶ時、彼女は何故か頼もしく見える。

「もちろんだよ!A姉ちゃん!」

そんな彼女に甘えるしかない現状だけれど、いつか必ずそれも終わらせてみせる。
そう思ったらこんなゲーム、大した事ないような気がしてくるから不思議だ。やっぱり俺はAに甘えているに違いない。


「2人ともー!車掌さんが乗客の人たちを集めてくれたって!」

列車の奥で蘭がそう叫んだ。これからだ。俺たちは必ずここから出る。
そう思った時、もう俺は焦ってなんかいなかった。




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ルカ - 最後までもう少しです。更新頑張ってください! (2017年7月29日 22時) (レス) id: 71abb433c8 (このIDを非表示/違反報告)
ニカ姫 - part1から見てますやっぱり最高続き見たい (2017年2月22日 18時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
honeymilk(プロフ) - プリンさん» 応援ありがとうございます 最近他の小説やテスト勉強なんかで更新できてませんでした… 頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2016年5月15日 20時) (レス) id: a6f73d98f1 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - 続き書いてください! (2016年5月14日 20時) (レス) id: ce4b07547a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:honeymilk | 作成日時:2016年4月5日 1時

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