先輩と後輩、絆と契り（6-8） ページ7
6-8、6-9はにどみさん視点になります。ごめんなさい。
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なな湖さんに案内された、木々の生い茂った森の奥にそびえ立つ、シンデレラ城の縮小版みたいな苔石の塔。
その扉は無理やり壊されていて、それでなな湖さんは飛び出して来たんだと納得する。
俺たちはその塔の階段を登って最上階に行き、そのこじんまりとした部屋に用意されていた粗末な木枠のベッドを囲む。
黒髪短髪の、前髪が綺麗に七三に分けられた若い男。
ピクリとも動かずに眠っているこの人こそ、ぬーすけ先輩なのだ。なな湖さんは彼の傍に跪いて寂しそうに眉を寄せる。
そのしんみりとした空気に影響されて普段騒ぎ立てる奴らもみんな黙り込んでいた。
「……そんじゃ、あたし歌うよ？」
「うん」
簡易マイクを取り出して構えたmegaちゃんが俺に一声をかける。それに返事をしながら、俺もヘッドホンを装着する。
Aliceを歌い出したmegaちゃんの歌声を、そのまま心に写し取って、それをぬーすけさんに向けて送信する。
直接ぬーすけさんに〈治癒〉を施すことは恐らく無理だが、俺を介して〈念話〉で間接的に聞かせることは……多分できる。
ズキズキと頭が痛むのを堪えて、もっともっとと集中力を高める。
しばらくすると、俺は暗闇に佇んでいた。
微かにmegaちゃんの歌声が響く中、右も左も分からない、息を吐けばこぽりと気泡が漏れ出る、暗い水の中。
ここが何処なのかは自然とわかったーーぬーすけさんの心の中だ。
泳ぐように墨のように黒い世界を歩き、歩いて、そして、暗闇にぽっかりと浮かぶ鎖に縛られた男を見た。
「ぬーすけさん」
意識はない。ぐったりとうなだれたまま、反応を示さない。
思わずぎり、と歯を食いしばった。
外の世界ではあんなになな湖さんが苦しんでいるのに……。
「ぬーすけさん、起きてください。なな湖さんが待ってるんですよ」
まだ彼は起きない。冷たく静止しているだけだ。
「……なな湖さん、泣いてたんですよ」
ぴく、と世界が僅かに動いた気がした。
「今もずっと、泣いてます」
足元が微かに揺れる。周囲がざわざわと胎動を始める。
「あなたが起きなきゃ、ハッピーエンドは来ないんですよ」
ぎちち、と鎖が金属音を鳴らす。ぶくぶくと気泡が立ち込めて、地面がボコボコと隆起する。
俺は思い切り、息を吸い込んでぬーすけさんに向かって今の思いをぶつけた。
「アンタが起きて、なな湖さんを助けろよ！！」
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
