先輩と後輩、絆と契り(6-7) ページ6
その後、村人たちを血祭りにあげ、もちろんぬーすけ先輩の故郷である村も滅ぼした俺は、長老に捕まった。
『神官』の掟を破ったことと、単に人殺しをした罪とを償うことを命じられ、反省するまで泉に封印された。
しかしこんな所で油を売っていてはぬーすけ先輩は『時封水』の副作用で死んでしまう。
俺は封印の刻印を〈能力〉をフル活用することで幾度も解いては、『時封水』を精製した〈呪術師〉を探し回った。
その度に長老に捕まり、封印やら体罰やらを受けたが、それでも俺は何度も何度も先輩を救うために〈神域の森〉を飛び出した。
いろんな人から情報を集めた。怪我も治療しないまま走り回った。
けれど。
度重なる掟破り、一向に反省のない態度、それらがついに限界に達して、長老は俺を苔石で造られた塔に閉じ込めた。
厳重に古代文明の封印術式で密閉され、いよいよ俺はこの塔から出ることができなくなった。
苔石の塔に封印されるときに一緒に連れ込んだ先輩の体を粗末なベッドに寝かせて、できる限りの世話をしながら自分の不甲斐なさに涙する。
「堪忍してや……もう、時間が……」
先輩が『時封水』を飲んでから早2週間が過ぎた。
タイムリミットは刻々と迫っている。
早くしないと、先輩が……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その話を終えると、俺を取り囲んでいた〈能力者〉の奴らがみんな涙ぐんでいた。
一部泣いてる奴もいる。
「な゛な゛ぐんッ……」
「なな湖さん……その話はずるいよぉ……ひっく」
ううう、と泣きじゃくる子供と、服の袖で涙を拭う黄色い男。
「……お前に、そんな事情があったとは……。儂に一言、教えてくれればよかったのに……」
「………」
長老が長い髭を撫でながら申し訳なさそうに項垂れる。その姿を見てチクリと胸が痛んだ。
「てかさ、それ“ 呪い ”なら、あたしが治すよ!!」
目元が赤くなった金髪の女が元気よく挙手をして、俺はようやく見えた希望に「本当か!?」と答えてしまう。
「いや、難しいんじゃないか?megaちゃんの〈治癒〉は歌を“ 聞いて ”ないと効果がないだろ?意識のない人間に効くのか?」
「うっ……」
腕組みをした冷静な眼鏡の男に意見された金髪の女は、先程までの勢いをなくしていっきに弱る。
掴みかけた光が、また遠のく……
「いや、届くよ」
ふと、首に青い……何かをぶら下げた男が俺の前に跪いた。
「俺が届かせる」
強い意志を宿した朱色の瞳を見た。
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます!琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです!閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました!全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい! (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます!楽しく読んでいただけて私も嬉しいです!閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます!www更新頑張ってください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ!コメントありがとうございます!mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです!これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2019年3月18日 17時