アタッカー復帰男子【ワールドトリガー】

アタッカー復帰男子7 ページ8

バチバチッと、聞き慣れない音。
唯一その正体を察知したのは、他でもないこの感覚の持ち主菊地原。

「この音、ゲートの開く音……！ヤバいんじゃないですか！」





その言葉を最後まで待たずに風間さんが路地から飛び出した。俺たちも素早く後に続くと、
今しがたあの黒い穴が青い空をぶち抜いてラッドの頭上に完全に開いたところだった。

俺はさっき風間さんがしたようにスコーピオンを投げて貫通させたが、
やはりもう開ききったゲートを止めることはできず。出てきたのは________

「……新型(ラービット)…………」

「うわあ、ホントついてない」

菊地原はしかし、言葉と裏腹にトリガーをしっかり握り直す。
こいつがどれくらい油断できない相手かということはそれだけでよく分かった。

「こいつが、前回の大規模侵攻で出てきたっていうアフトクラトルの新型ですか」

横の風間さんに、顔の向きを変えずに訊く。

「そうか、如月は未経験の相手だったな」

風間さんはひとり得心したのち

「体を液状にすることができる。背中は堅い、腹を狙え。取り込まれるなよ」

「……そんだけっすか」

何だか全く分からん。しかし風間さんはもう答えてくれなかった。
新型がこちらに突撃してきたからだ。





強化聴覚のお陰で攻撃をかわすことは造作もなかったが、新型の性能にはさすがに舌を巻いた。
背中を切り裂いてもまるで手応えがない。

「如月さん、だから背中は装甲が厚いですよ！」

「すまんすまん、ちょっと信じられなくてなっ……！」

歌川に謝るひまもなく奴の拳をまたかわす。
隙を狙ってくるあたり、頭もなかなかいいらしい。

「なら、これでどうだ？」

俺はそう言い、周りに溶けた……カメレオンを起動させたのだ。
新型が呆気に取られた刹那、その腹部から二条の大量の光子が漏れ出す。風間さんと俺だ。

新型がどう、と倒れると、辺りは今度こそ静けさを取り戻した。

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