アタッカー復帰男子【ワールドトリガー】

アタッカー復帰男子1 ページ2

「…………よし」

珍しく鏡の前に陣取る。今日は、久々の本部出勤の日だ。
城戸司令への挨拶もあるし、服装にはいつもより気を遣わなければ。

……といっても、寝癖を直して昨日アイロンをかけた服を着ればそれで終わりなんだけど。





「ん〜、今日はいい天気だ」

梅雨には少ない晴れの日に、心なしか俺自身も楽しくなってくる。
そういうわけで、鼻歌なんて慣れないことしながら角を曲がった時、

「如月さんはっけぇーん！はい、これ！」

とか叫んだ緑川にいきなり紙を一枚渡されても、俺はすぐには突っ込まなかったのだ。

「あ？なんだこれ」

ぺらっと音を立てた紙には、『如月さんとの模擬戦予約表！』
とでかでかと書かれていた。下に見ていくと確かに名前が並んでいる。

走り書きみたいな雑な字で「緑川駿」。
やたら濃い筆圧で書かれた「米屋陽介」……の上から赤でバツを付けて「三輪秀次」。
一瞬行書っぽいので綺麗に見えるが実際そうでもない字で「太刀川慶」。

「ふうん、予約表ね」

さらっと反復した言葉に、俺の常識が警報を鳴らす。



ん？予約表？



「いやいやいやおかしいだろ！？」

「急に何さー！」

ここ数日の色々と玉狛生活によってすっかりゆるみきっていた脳が、ようやく現実に引き戻された。
そうだ、思い出せ。A級には変人しかいない。

「まず勝手に予約すんな！俺は予約制になった覚えはない！」

「ちぇー、朝なら誤魔化せるかと思ったのになー」

「コイツ狙ってやがった！！」

14歳、侮れん。





どうやらやっぱり本部の仕事は、色々面倒くさそうなことこの上ないのだった。

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