第2話 ページ2
授業終わりのチャイムが鳴る。
なった瞬間、Aはすっと立ち上がると全速力でトイレまでかけて行った。
そして何かに追われるように個室のドアを勢い良くしめる。
個室の中で、ふう、とため息をついた。
(なに、なんなんだこれ・・・?)
どこへ行っても視線が付いて回る。四方八方どこを見回しても誰かと視線がぶつかる。
(突然どうした・・・)
今まで自分はザ・普通を体現したような人間で、そんな皆が注目するような人物ではないはず。
それにしても、ずうっと誰かに見られているというのは、この上なくやりづらい。
(早く帰りたい・・・)
Aは若干涙目になりつつ、そう心の中で願うのだった。
最後の授業。その終わりを知らせるチャイムが鳴ると、Aは心の中でぐっとガッツポーズした。
そして光の速さで帰りの準備を終え、また何かに追われるように階段を駆け下りる。
落ち着かない。とにかく早くここから出たい。そんな思いで校門まで駆け抜けると____
どん、と誰かにぶつかった。
謝ろうと顔を上げる。ぶつかったのは、高杉晋助だった。
高杉晋助。Aの夫(予定)である。いわば婚約者だ。
今をときめく大企業の幹部で、とんでもない金持ちである。
そして彼を語るに最も欠かせないことは、その容姿とカリスマ性であった。
まず全身から溢れだす色気。長い手足と鍛え抜かれた体。驚くほど整った顔。
この世のものとは思えない美貌を持つ男。
そして裸一貫から幹部まで上り詰めるほど、人を惹きつける圧倒的カリスマ性。
そんな極上の色男が、ぶつかってきたAの体をがっちりとホールドし、うっとりと視線を投げかける。
「危ねェなァ・・・んな走ってっと転ぶぞ」
「し、晋助?!ちょ、待って、迎えにきたの?!仕事は?!」
Aはぐいぐい彼の体を押す。しかしビクともしない。
こんな校門でラブシーンを演じていては、ただでさえ居づらい学校がさらに居心地の悪い場所になってしまう。
同級生が降りてくる前に早くここから離れないと。しかし高杉はAを離さない。
「んっ・・・?!」
その上濃厚なキスをしてきた。
(や、やめろこの野郎!!同級生に見られたら恥ずかしすぎて死ぬ!!)
Aは絶叫するが、しかしだんだんと抵抗する力が弱くなっていく。
やっとのことでAを離した高杉が、妖艶で壮絶な笑みを浮かべた。
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亜水 - scarletさんの作品は他にも読んでいるとですがとっても好きです!更新頑張って下さい。 (2019年2月17日 3時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:scarlet | 作成日時:2019年2月15日 21時