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「ああ、そうだアリス」
優雅な動作でパンを千切り、皿に残ったビーフシチューを掬っていたハッターが顔を上げた。
「
「…OK、まずはゆっくり食ってくれ」
大口を開けてビーフシチューに浸したパンにかぶりついていたアリスも顔を上げる。ハッターは梅干し……はちみつ仕立ての甘口ではなく、紫蘇の風味が効いた塩分の強く酸っぱい辛口の梅干しでも口に放り込まれたような顔をした。
良いじゃないか、こちとら一般家庭に生まれ育った庶民なのだ。優雅なテーブルマナーなんて生まれてこのかた習ったこともないし、今後もきっと使わない。ハッター仕込みなのか、お行儀よく一口ずつに千切ったパンを口へ運ぶ小さな二人組を横目に、アリスはもぐもぐとパンを咀嚼し飲み込んだ。
「むぐ…ごっくん、それでハッター、なに？」
「おまえな、
おまえ、こっちの世界に来るときに持ってた荷物は？」
「あ、ええと…」
アリスは思い出す。
そういえば、学校の帰り道だった。学校祭の衣装を作るのに、糸の買い出しも引き受けていた。
(学校…どうなったのかな。もうお姉ちゃんも帰ってきてる頃よね)
ちらりと頭に浮かんだ寂しさを誤魔化すように頭を軽く振り、アリスは持ち物を思い浮かべた。
「確か、学校のかばんと…あと、手芸屋さんに寄ったついでに布とかリボンとか買ったんだっけ。そうだスマホと財布、タブレットも！
あっそうだ、バッシュとボールも持って帰ってきてたんだっけ」
「がっこう」
「すまほ」
「ばっしゅ…？」
きょとんとした顔が3つ並んでいた。
そうだ、この世界学校もスマホも通じないんだっけ。バスケもなさそうね。
「学校ってのは…えっと、子どもが勉強とか運動を習うために通うところ、かな。スマホは…うーん、機械って伝わるのかな？ 遠くの人と話したり、色んなことが分かったりする道具よ。バッシュはね、私がやってたバスケってスポーツの時に履く靴。スポーツって伝わる、よね？」
「ああ。クロッケーやダーツくらいなら覚えがあるんだが…似たようなもんか？」
「ごめん、私そのくろっけー？は知らないや。ダーツはだいぶ違うんじゃないかな」
「さっきから思ってたが…おまえのいた世界ってのは変わってるな。
まあいい。その荷物はどうしたんだ？」
「それが…分からなくて。
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます！不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い！！！！サイコーです！！続き待ってます！！ (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月21日 1時
