酒場のマスターはトリッパー

19杯目 ページ21

「兄弟が欲しい」

「え、いきなり如何したの？」

「兄貴が欲しい」

「もしもしマスター？」

「私の趣味にも付き合ってくれる優しいお兄ちゃんはいないものか・・・」

「いい医師紹介しようか？」

「通院を勧めないでください」

「やっと会話が成り立ったね」

「というかいつの間に来店されてたんですか



太宰さん」

一人っ子特有の悩みを呟いていたらいつの間にか目の前に座っていた太宰さん。

「ついさっきだよ」

「すみません、全然気付きませんでした。
今日はワインでもどうですか？」

「いいね」

私は年代モノのワインをワインセラーから取り出し、ワイングラスへと注いだ。

「どうぞ」

「ありがとう」

太宰さんは妖艶な笑みを浮かべて言った。

太宰ファンはここで血反吐を吐いている。

私は心で頭を抱えながら跪いて悶えている。




(ニコニコ)

・・・・・・

(ニコニコニコ)

・・・・・・・・・・・・

「太宰さん・・・」

「なんだい？」

「笑顔が黒いですよ・・・」

何だよさっきから・・・

怖いわっ‼

「私に何か言いたいことでも？」

「そうだねぇ、マスター」

「はい」

「私がこの前来た時に言った最後の言葉、覚えているかい？」

「ーーーーあっ」



『今度来たときは、ありのままの貴方とお話ししたいものだね』



(・-・)

じゃあ一発かましてやんよ

「太宰さん」

「？」(ニコッ)






「お前は一回僕君と会って話し合いをしろ」

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