+１５７+火照る ページ12
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彼のこの大らかさは周囲まで肩の力が抜けてしまう。
こちらまで気の抜けるような笑顔を一点の曇りもなく浮かべる彼
一般とはかけ離れたあのような戦いの後でも
この笑顔とは…ただただ驚き、茫然としてしまう。恐れ入った。
こちらの心境としてはそんな彼に安心感すら感じているし
出来ることならば同じような笑顔を返して彼に賛同を示したい所だが
今の私には少し難しい…と思っていた。
それでも自然と、何かを考えたりする間もなく
ほんの少しだが、そっと口元が緩まり目を細めてしまう
今までほとんど無かった最早“現象”ともいえる
行動に私自身が驚き、脳内で疑問符を浮かべてしまう
しかし、驚いたのは私だけではなく
それどころか当人以上に驚いている人物が居たようで
思考が自分の行動そのものに向いていると
目の前にいる人物すら視界にいようと脳内から一時的に除かれてしまう。
しかし、考えることを止め始めると段々と視野は広がって
目の前の人物の表情をちゃんと捉えられるようになってきた。
『…何固まってるんですか。山本くん。』
と面を食らったように表情を固めたまま
微動打にしない彼に声音で怪訝を表し尋ねれば彼は少し肩を跳ねさせた。
「あ、あぁ…いや、」と少し口篭るので更に眉を顰めるが
続くはずの言葉は彼の口から出てこずその場が妙に静かになる。
どうしていいか分からず山本くんから視線をズラし
赤ん坊くんに助けを乞うように見つめてみるが彼はほくそ笑むだけ。
ダメだこれは、と諦めて山本くんの方に視線を戻すも
彼は私が視線を戻したことに気付くと気恥しそうに頬を掻く。
そうなってくると段々こっちが気恥ずかしくなってきた。
視線をあっちこっちに彷徨わせて紛らわそうにもどうにもならない。
恥ずかしさが段々と、戦闘時とはまた違う熱に変わってくる
ぽっぽっと火照る。熱い。
なんでこんなに動揺するのか、自分でも分からなくて
分からないことが少し…かなり不満でやや八つ当たり気味に
「用がないのなら恭弥さんの方に戻りますけど」と２人に話す。
すると、赤ん坊くんはふっ、と鼻を鳴らして笑った。
ジト目でそちらを見遣れば口元の弧を深める。
「な？存外気持ちの切り替わりで変化っつーのは起きるんだぞ。
これは克服もそう遠くはねぇんじゃねーか？良かったじゃねぇか。」
自信ありげなその顔が今までで一番腹立たしいのは
彼の言い分が正しいと自分の先程の現象が立証してしまっているからだろうか。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
