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「せ、先生…?」
「…ワタシは君を愛してもいいのだろうか。」
愛しむように私の右手を撫でる先生の目には、少しだけ不安が写っていて。
「ワタシは人の心が分からない。だから君を傷つけてしまうかもしれない。…それでもワタシのことを好きだと言ってくれるのか?」
先生が人間離れをした感性を持っていることなんて知っている。
私が惹かれたのは、普通の人とは違う先生の感性や表現力。
それに、人の心が分からなくたって、優しくて素敵な人だ。
「…私は、先生のことを愛していますし、あわよくば先生に愛されたいって思っています。」
「そうか…そうなんだな…」
噛みしめるように何度も呟く先生を見ていると、なんだかきゅうっと胸が締め付けられた。
そんな心を隠すように先生に飛びつく。
「ほぉっ!?いきなり飛びつかれては驚くじゃないか!」
そう言いながらもしっかり受け止めてくれる先生。
いつも重いものは持ったりしないけれど、体には少しだけ筋肉がついていて、やっぱり男の人だって実感した。
ぎゅうっと少しだけ力を込めて抱きしめられる。
先生のきつくない香水の香りが鼻を掠めた。
その香りを嗅ぐだけでまた胸がきゅうっと締め付けられて。
それがなんだか擽ったくて、私も抱きしめる力を強める。
「…先生、大好きです。」
「…あぁ、ワタシもだ。」
「…あの人ら、ここが談話室って分かってんのかよ。」
「ふふふっ、幸せそうだからいいんじゃない?」
Amour de fondant. / 雪白東→←欠陥品なんかじゃない / 有栖川誉
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作者名:Chocolate palette.製作委員会 x他4人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年2月14日 21時