Chocolate palette. 【A3！】 (ページ21)

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教室に私の声が少し響いて、万里はくるりと振り向いた。

｢どーした、急に大声出して｣

｢あ、あのね！大切な話があってっ｣

｢…おー｣

いつもだるそうにしている万里が、私を少し真剣な目で見てる。

それだけで鼓動は忙しくなっていって、息苦しくなっていく。

私は深呼吸をした。

…よし。

｢………本当は、友チョコとして渡すつもりだったんだけど…

や、やっぱり《友達》じゃなくて《好きな人》としか見れなくて、

諦めようとしてもやっぱり好きで、友達以上になりたくて、
だ、だから、わ、私と、つ、つ、つつつ｣

肝心な言葉が出てこない。
徐々に声が震えていって、どうしようもできない。

どうしたらいい…？

｢……わかった。わかったから。…少し落ち着け｣

そんな私の思考は、万里の声で容易く止まる。

万里は私の前に来ると、私の頭をくしゃりと撫でた。

｢…チョコ渡すの遅せぇんだよ｣

｢ご、ごめ｣

｢何年待たせんだよ…こっちはお前からのチョコを受け取る気満々だったっての｣

｢………へ？
ま、待っててくれたの？！｣

私の問いかけに、少し得意げに笑う万里。
ますます訳が分からなくなって、質問責め。

｢い、いつから？！｣

｢高一くらいから｣

｢きょ、今日のチョコは？！｣

｢貰ってねぇ。Aからのチョコが欲しかったから。｣

そう言うと万里は私をぎゅっと抱きしめた。

ま、待って。少し苦しい。
そんな事を無視して、万里はさらに抱きしめる力を強くした。

｢バレンタインだから、仕方ないかもしんねぇけど…こういうのは俺から言わせろよ………。

…あああああ言えねぇぇぇ｣

｢ちょ、耳元で叫ばないでよ！｣

ふと見上げると、顔を真っ赤にした万里がいて、
夢じゃないんだなって、改めて感じた。

私はまず一旦離れて、鞄の中から箱を出す。
そして万里に渡した。

｢あ、チョコ。はい｣

｢…さんきゅ｣

万里は少し照れながら受け取って鞄の中に入れ、私の隣に来て指を絡める。

そして彼はこう言った。

｢好きだ…から、離れんなよぜってぇ｣

私の顔は、外の夕焼けと同じくらい紅く染まった。