-13-手合わせ ページ15
フランベルジュ…刀身が波打つ剣の総称。
刀身の揺らめきが炎のように見える為、炎を意味するフランス語からこの名がついた。
「剣なら俺が相手するぜぇ！！」
「って言うと思ったよスクアーロ。よろしくね」
そして再び武器の試用という名の手合わせが始まった。
「ほんっと、来た時よりずっと動きもよくなってるわねぇ」
「天賦の才能なんだろうね」
視線の先にはスクアーロと剣を交えるA。
彼の目にも止まらぬ剣の連撃をものともせず躱して行く。
「あの剣は特殊な刀身が肉を引き裂き、止血をしにくくするんだ。故に殺傷能力がずば抜けて高い。傷も治りにくいから、死よりも苦痛を与える剣……とも言われているんだ。
無意識であの剣を手に取るなんてね…あの子にはこっちのセンスがあるのかもね」
ふわふわと浮かびながらマーモンが告げる。
彼女が選んできた武器は自分が気になったものと言っているが、自分達とのバランスがよく取られていた。
XANXUSが告げたように、彼女は役目をきちんと果たそうとしているのだ。
−補佐という役目を。
「う"おおおいっ！！なかなか上達して来てるが、まだ俺には勝てねぇぞぉ！！」
「いや、そもそもこれは勝ち負けではなくてただの武器の試用なんだけどっ……！？」
「勝負は勝負だぁ！！！！」
「……頼まなきゃよかった…」
どうやらスクアーロに火がついてしまったらしい。Aが面倒くさそうな顔をしている。
「オラオラオラァ！！」
「ぐぬぅーー！！めんどくさいっ！！」
「ついに口から出たし」
ケタケタと笑うベル。
出会って初めは固かったAも今は慣れたようで表情も豊かになっていた。
「いい加減っ…」
ダッと地面を蹴り、一気にスクアーロとの距離を詰める。
「止まりなさいっ！この暴君鮫！！」
そして、己の剣をスクアーロの剣に交える。
ギャキィインッ！！
「なぁ"っ……！？」
強制的に止められた剣…ズレた歯車のようにガチリと止まってしまったそこには、Aの持つフランベルジュに小型チャクラムが通され、剣の波形に引っかかったそれがスクアーロの剣を絡め取っていた。
「うっひょ〜…まさかあんな技咄嗟にするなんてな」
「やるじゃないか、A」
XANXUSも口角を上げてAを見ていた。
「ほおぉ…やるようになったな」
「誰の補佐してると思ってるの？」
「ククッ…そうだったなぁ！」
満足気に剣を下ろすとAの肩を叩き幹部達の元へと戻った。
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作者名：紅雪 | 作成日時：2019年4月7日 3時
