性別：女 ページ9
*
｢こんにちは｣
『こんばんは、だよ』
毎週水曜日の夕方。
約束もしてない、連絡先も交換してない、ましてやお互いの名前すら知らないけれど、その日その時間だけはこの海を2人占めした。
すとん、と私の左隣に腰を下ろす彼に違和感を抱かなくなったのは何回目の水曜日だっただろうか。
最初はいつも私の左隣に遠慮なくゼロ距離で腰掛けてくる彼を警戒しなかった訳では無いが、打ち解けるのに時間はかからなかった。
私がギターを弾いて、合間に彼が学校であったことなんかを話す。
それを聞いて私が自分のことも話す。
…まあもっとも、友達が沢山いる(らしい)彼と違って、友達と呼べる友達が泉くらいしかいない私が話せることなんてあまりなかったのだけれど。
それでも彼が私の曲を好きだと言ってくれて、私の拙い話に目を細めてくれた。
私も彼の眉尻を下げた優しい笑い方が好きだった。
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1週間にあったことを話し尽くしてしまった時、決まって私たちは無言で海を見ていた。
都会の海は昼間はとても綺麗だなんて言えないが、夜の真っ暗な海は月明かりを反射して煌めく水面が美しかった。
｢あのさ、｣
『うん』
｢海、綺麗だね｣
『…うん』
なんの意図もなく放たれた言葉なんだろうが、意識せずには居られなかったのは雰囲気のせい、なんて。
彼の顔が赤かったのは気づく余地もなかった。
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ちより(プロフ) - 度々過去編のお話が入るのが凄いなって思いました…！！読みいるしすごく違和感のないお話に出会えたのは久しぶりです…！自分のペースで無理せず更新していってください、待ってます！ (2020年1月5日 3時) (
レス) id: 5d8f01d30c (このIDを非表示/違反報告)
Linon(プロフ) - 泉が可愛すぎてキュンキュンしますううう (2019年12月16日 1時) (レス) id: c9d9ceb5f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆちゃん | 作成日時：2019年11月28日 18時
