Valkyrieの強火オタクが魔王様と距離ができる話

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｢おっ朔間兄じゃん、久しぶりだな〜｣




報告書を提出し、職員室を後にすると、後ろから声をかけられる



『佐賀美センセ〜、こんな時間まで学校にいるとか社畜ってやつっすか』




へらり、と無理やり笑顔を作ってみせるが、佐賀美陣は顔をしかめるだけだった




｢無理してるって顔だぞ、元アイドルなめんなよ｣

『はは、お見通しってわけだ』



乾いた笑いを返してみせる

酒とタバコ、おまけに無精髭という、元アイドルの欠片も見当たらないこの教師もたまには教師らしいことも言うものだ



｢海外とびまわって疲れてんだろ。たまには日本でゆっくりしとけよ｣


『俺様ちゃんの助けが必要なやつは世界中にいるからそんなわけにもいかね〜よ』


頭をくしゃ、となでられ手をひらひらさせて背を向けて歩き出す



｢まぁ、せいぜい倒れん程度に頑張れよ若者｣


『はいはい、頑張りますっと』




その背中を見送ってからまた昇降口に向かって歩き出す


次はホノルル、その次はモスクワ、パリ、シドニー、サンフランシスコ、ウィーン、ベルリン



当分、日本に帰れそうにないこの状況



『逆に良かったかもな、俺』



今日までAのことを考える時間が一番大事だったのに

Aのことを考える時間が一瞬でも短くなることで心が休まるなんて




『皮肉だな』




自嘲して、学院を後にする








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