▼ hpmi :【マジでお邪魔します】山田家 ページ14
これと同一主
「おっ、レイラじゃねーか」
『げぇ…いち…』
「げぇ、はねぇだろ」
野暮用でイケブクロに来ていたレイラは久しぶりに聞く声に、少し顔を顰めて声の方を振り返る。
そこにはやはり予想通りの人物、山田一郎が立っていた。
『ごめん…左馬にちょっと、言われてて、』
「ああ…、俺と会ったら逃げろって?」
『…まあ、そんなところ』
苦笑いを浮かべる一郎に、顰めるのとは違う気まずそうな顔になるレイラ。
「アイツらしいな。これからどっか行くところか?」
『ううん、もう終わって、今から帰るとこ』
「そうか」
『いちは?』
「俺は今仕事終わって帰るとこだ。寄ってくか?」
『え?いいの?』
「おう、あいつらも会いたがってたし」
『…左馬には秘密にしててね?』
「話す機会もねーって」
そうと決まれば、レイラはトコトコと一郎の横に並んで、一郎共に山田家を目指す。
左馬刻には今日は自分の家に帰ると言ってあるし、まあ大丈夫だろう、そう心の中で呟いて久しぶりの山田家に胸を高鳴らせる。
…そもそも一郎とレイラ、実は同級生である。
かといって一郎伝いに左馬刻と知り合ったというわけではなく、左馬刻と対峙し、くっついたのはTDD解散後である。
頻繁にイケブクロに遊びに行くレイラに左馬刻が誰と遊んでいるのかと尋ねた時、まさか山田一郎の名前が出てくるとは左馬刻は思いもしなかっただろう。
「着いたぞー」
他愛もない話をしながら歩くこと十数分。
懐かしい光景にレイラは目を輝かせた。
そして一郎が開いたドアを縫うようにくぐって、靴を勢いよく脱ぎ捨て大声を上げながら我が家さながらに家の中に突入した。
『じろちゃーん!!さんちゃぁーーん!!』
それを見た一郎は一瞬目を丸くして、しかしすぐ破顔して脱ぎ捨てられた靴を正してから自分も家の中へと入る。
「え!レイラさん!?」
「なんでレイラさんがこんな所に!?」
『会いたかったよぉ〜うううう!』
聞こえてきた声に思わず笑い声を上げる。
リビングに向かうと両手に弟達を抱くレイラ。
驚愕した顔の弟達、心底嬉しそうなレイラに一郎は昔を思って胸が温かくなる。
左馬刻には悪いが直ぐに帰してやれなさそうだなと一郎はにんまり笑って、三人の輪に入っていく。
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作者名:たまの | 作成日時:2018年12月15日 19時