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目に見えない? ページ5

「これはきったないペン、これはきったないノート…あっ!きったない消しゴム!」
「人のものを勝手に漁っておいていちいちきったないをつけるな!」
引き出しの中身を手当たりしだいに取り出してはポンポン放り投げるものだから、机の周りに物が散乱してしまう。何をするつもりなのか見ようかと思ったがここまで好き勝手やられて好き勝手言われると黙ってはいられない。俺は立ち上がりジャリテンを掴もうと手を上げると突然ジャリテンが「あった!!」と叫んだ。
「これを探してたんや!」
「あっ、それは!」
ジャリテンの手に握られた小さな人形を見て一気に焦った俺は「返せ!」と強引に取り返そうとしたがふわりとすり抜けジャリテンはそれをラムの手に落としてしまう。
「あっ、これ、うちがあげた人形!」
ラムがいなくなってしまったと思い込み柄にもなく泣き寝入りしてしまった時のラム人形を見てラムが嬉しそうに声を上げる。ラム人形はすっかり汚れてしまっていた。
「そや!このアホはちゃんとラムちゃんから貰ったものを大事にしとるんや!!」
「えーいうるさい!捨てるに捨てれんかっただけじゃ!」
ジャリテンがドヤ顔でそう叫ぶので、パシッとその身体を掴むと大声で叫び返す。誰にも見られないようにしまっておいたのに気づかれていたとは……このガキ意外と勘が良いんだよな……。
「ダーリン!うち嬉しいっちゃ〜〜っ!」
「アホ、くっつくなっ!」
人形片手に腕に抱きついてくるラムを引き剥がそうと腕を振るが全然離れてくれない。くそー、ジャリテンのやつ、どうしてくれよう。今すぐフライパンでホームランでもしないと気が済まない…。
「ん?なんやレイ」
ジャリテンが隙をついて俺の手から逃れるとレイの口元に耳を寄せる。「ふんふん。ふんふん」と頷くと伝言を告げる。
「俺もラムちゃん人形持ってる言うとるで!」
「なに〜?お前、レイにもあげたのか」
「えっ?うちあげてないっちゃよ?」
レイはいつかの風船ラム人形を取り出すと空気を吹き込んで膨らませる。膨らんだラム人形を抱きしめるレイを見てラムがぞわ〜っと震える。
「そんな人形早く捨てるっちゃレイ!」
「そうだそうだ!作るならラム以外を作れ!そして俺に寄越せ!」
「ダーリン?うち以外なら欲しいのけ?」
「お前の人形なら今お前が持ってるのがあるからいいだろうが!」
「愛する妻の人形ならいくらでも欲しいとか嘘でもそういうことが言えないのけ!?」
「誰が愛する妻だ!!」

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作者名:如月フウカ | 作成日時:2022年11月2日 21時

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