テンVSあたる ページ1
「このアホ〜!もう許さへんど!」
ふよふよと宙を浮かぶ緑色の髪の小さな鬼っ子、テン…否、ジャリテンと俺はいつものように張り合っていた。ジャリテンが炎を吐き、俺がフライパンで防ぎ、そのままそれを武器にして弾き落とす。それを何度か繰り返すと側にいた綺麗な髪の鬼の娘、ラムが叫ぶ。
「も〜!いい加減にするっちゃ二人共!」
「黙っててもらおうかラム!これは男と男の対決なのだ!」
腕に縋り付くラムから顔を背けると、ジャリテンが頷く。
「そや!!わいは死ぬまでにこいつを丸ごとステーキにしてやるって決めとるんや!!」
「なんだと!?やれるものならやってみろ!」
そしてジャリテンは再び炎を吹こうと息を吸い、俺がフライパンを振り上げたのだが、俺たちの間にラムが割り込んだ。
「いい加減にするっちゃ!いい加減にしないとうちが二人をステーキにするっちゃよ!!」
「ら、ラムちゃん……」
「いつもステーキになっとるから変わらんわい!」
「ダーリン〜?うち本気で怒るっちゃよ。というかステーキにしたことなんてないっちゃ!」
ラムがバチバチと電気を纏い始め、俺は仕方なくフライパンを下げる。その瞬間ジャリテンが今やと言わんばかりに息を吸ったが、ラムに睨まれて仕方なく止めた。
「もうダーリンもテンちゃんもいつもいつも……どうして喧嘩ばっかりするんだっちゃ!」
「でもな〜それはラムちゃんとあたるのアホも同じやないか?同じことを何度も何度も繰り返しとるやないけ……」
ジャリテンがツンツンと両手の人差し指同士をつきながら、ラムの顔色を窺う。ラムはジャリテンの発言が癇に障ったらしく、眉を吊り上げた。
「それはダーリンが悪いっちゃ!でも今のはダーリンも、テンちゃんも悪いっちゃ。無意味な争いは避けるべきだと思わないのけ?」
「ラム。今の発言は聞き捨てならんな。何故俺だけが悪いと言われねばならんのだ?ただ俺は可愛い女の子の住所と電話番号を聞きまわっているだけではないか!!それのどこがいけないというのだ!」
「全部悪いっちゃ!」
更に電撃をバチバチと纏わせるラムに「まぁ落ち着け」となだめていると、ジャリテンが首を傾げて腕を組んでいた。
「な〜ラムちゃーんなんで別れんのや?わいはよー分からんくなってきたで……あたるのアホはラムちゃんがおるのにねーちゃん追っかけてばっかだし……」
そのままうーん、と悩み始めたので、ラムと俺の視線がジャリテンへと集中する。
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作者名:如月フウカ | 作成日時:2022年11月2日 21時