６話 ページ6
『なあ、先生』
１ページめくる。
「なに？」
心地いい紙のこすれる音が、先生の声と重なって虚空に消える。
『俺の卒業ってあと一か月も無いんよな』
先生もまた、１ページめくる。
「そうだね」
ふわりと風が吹き、先生のスカートが少しなびいた。
『俺さ、留学するんよ。一年間アメリカで、親父の仕事継ぐために』
「そうなんだ。すごいことじゃない」
『……うん』
別れに対する先生の言葉は無かった。
「引っ越しはいつ？」
『卒業式の次の日。一番早い飛行機で行く』
「そっか、アメリカかぁ……いいな、私も行きたい」
『先生も遊びにおいでや、俺一人はつまらんもん』
「無理だよ、私産休に入るから」
『……え？』
「みんなには言ってなかったんだけど、妊娠してるの。産休っていうか、退職する」
『先生辞めるん？』
「辞める。だから私、坂田くんたちと一緒に卒業するみたいな感じ」
おめでとうの言葉よりも先に、質問がのどから出て行った。
どんな顔をすればいいのか、なんと伝えればいいのかわからず、ただ『そっか…』としか言えなかった。
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翡翠琥珀@さぶさぶ - 強がりネコさん» ありがとう！！ちょっとあえて放課後のさかたんサイドだけで進めてみたんだよね〜。切ない感じ伝わったみたいでよかった！交わらないってのは自分でもしっくりきた笑ありがとう〜お楽しみに！ (2020年4月26日 18時) (
レス) id: ac599aef06 (このIDを非表示/違反報告)
強がりネコ(プロフ) - 今回も良かったです！！なんか、ずっと赤い夕日の光に包まれたみたいな感覚でした…頭の中が赤いんですけど笑これから二人とも、違う道を進んで大人になってくんだなぁって思いました…交わらないって言葉がなんてしっくり来るんだ！！他の作品も待ってまーす！ (2020年4月26日 2時) (レス) id: 6b22ebfd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠琥珀 | 作成日時：2020年4月24日 4時
