きゅう ページ9
.
「もうAの家に行くのも慣れたものだな〜」
『いつも送ってくれるもんね』
「だって何かあったら大変じゃん」
『大袈裟』
「な！？僕はAを心配して」
『はいはい』
くだらないことで言い合って、ふざけて、笑いあって。
わざと適当にあしらってしまうのは、私の悪いクセ。
それでも、内心すごくドキドキしてたりする。
私の影は、今も簡単にまふに触れている。
時には手を繋ぎ、時にはキスをして、時には重なりあい、また離れ。
自由に触れられる影がうらやましいとさえ思ってしまう。
…私もいつか、あんな風に誰かと近付けるときが来るのかな。
今も、私とまふの影は手を繋いでる。
「あー、僕今反抗期の娘がいる全国のお父さんの気持ち分かる」
『なんでよ』
「心配してるのにあしらわれるから」
『過保護！お父さんなんか嫌いっ！！』
「うわぁそんなの言われたら僕、立ち直れない！」
反抗期の娘っぽいセリフをふざけて言ってみると、案の定傷ついた顔をするまふ。
おもしろいから更に追い討ちをかけてみる。
『お父さんウザイ』
「うぐっ」
『お父さんと洗濯別にして』
「グハァっ」
『まだ父親でもないくせになんでダメージ受けてんの』
「いや普通に辛いよ、それ…」
『まあなんかうざがられそうだよね、まふって』
「え！？なんで！！」
『……束縛みたいなことしてそう』
「さすがに娘はしないでしょ…」
『じゃあ彼女にはするの？』
そう言うと、なぜかキョドキョドし出す。
教室でも見た表情。
うーん、と少し唸ってから放ったのは肯定の言葉。
「Aは、重い男はきらい？」
『何急に』
「や、ちょっと女子の意見聞いてみたいなって。
ほら、僕がこんなに距離が近い異性ってAだけだしさ」
私だけ。
ほんの少しだけど、胸がきゅんと鳴った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠琥珀(プロフ) - 四つ葉＠甘エビ食べたいさん» え、ありがとうございます(泣)作者は夜行性なので深夜更新多めですが、このままだとわりと長引きそうなので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年8月16日 22時) (
レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
四つ葉＠甘エビ食べたい - コメント失礼します！凄く良い作品です！作者様が大丈夫でしたらどんどん長編にしてほしいです！体調とかに気をつけて更新頑張ってください！応援してます！ (2020年8月16日 19時) (レス) id: 4ad016d14c (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - 月さん» 私もそれ思います……てかAtRがどっちもかわいい…ありがとうございます！ (2020年8月16日 16時) (レス) id: 6d037e75db (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - そらるさんかわいいなぁ！？私に女子力くれよ！！(((って思いました← どうなっていくか想像できないから楽しみにしてますね！ (2020年8月16日 9時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 一緒に泣いてくれるなんて心強いっっ！！(←何言ってんだ) (2020年8月12日 23時) (レス) id: 91209592d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠琥珀 | 作者ホームページ：いつか作ります。いつか。
作成日時：2020年7月21日 15時
